ジピリダモールにより狭心痛が増強したと思われる川崎病心筋梗塞の1女児例

症例は8才の女児である. 4才5カ月で川崎病に罹患したが, その後健康で自覚症状もなく, 治療をしていなかつた. 6才時心筋梗塞になり. アスピリン・ジピリダモール・Ca拮抗剤などの投与を受けたが狭心痛は心筋梗塞の急性期を過ぎても残つた. 最近, ジピリダモール誘発の心筋虚血が動物や冠動脈疾患思者において示されており, 本症例もジピリダモールの使用中止により, 狭心痛発作の回数が少なくなつた. coronary steal現象がジピリダモール誘発の心筋虚血の機序かもしれず, 多枝病変をもつ心疾患患者では, ジピリダモールの使用は一般的な治療とはならない場合もあるものと思われた. 川崎病において...

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Published in医療 Vol. 43; no. 3; pp. 342 - 346
Main Authors 東, 香子, 松下, 竹次, 山口, 正司, 北林, 耐
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1989
国立医療学会
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.43.342

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Summary:症例は8才の女児である. 4才5カ月で川崎病に罹患したが, その後健康で自覚症状もなく, 治療をしていなかつた. 6才時心筋梗塞になり. アスピリン・ジピリダモール・Ca拮抗剤などの投与を受けたが狭心痛は心筋梗塞の急性期を過ぎても残つた. 最近, ジピリダモール誘発の心筋虚血が動物や冠動脈疾患思者において示されており, 本症例もジピリダモールの使用中止により, 狭心痛発作の回数が少なくなつた. coronary steal現象がジピリダモール誘発の心筋虚血の機序かもしれず, 多枝病変をもつ心疾患患者では, ジピリダモールの使用は一般的な治療とはならない場合もあるものと思われた. 川崎病において, ジピリダモールの投与が狭心痛を引き起こしたと思われる症例は, 文献上本邦では, 本例が2例目である.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.43.342