塩酸マニジピン服用患者にみられた歯肉増殖症の1例

高血圧症および狭心症治療薬ニフェジピンを服用している患者の一部に歯肉増殖症が発現することが知られている。ニノェジピンはカルシワム拮抗作用を有し, 他のカルシワム拮抗剤 (ベラパミル, ジルチアゼムなど) でも同様の副作用が発現すると言われている。本症例報告ではカルシウム拮抗剤・塩酸マニジピンを服用している69歳男性にみられた歯肉増殖症の症例について紹介する。増殖歯肉は全顎的に認められ, 下顎前歯部と下顎右側臼歯部で著明であった。この症例は成人性歯周炎を伴った歯肉増殖症であることから, 徹底的な歯周基本治療を行い, 同時に服用薬剤をアンギオテンシン変換酵素阻害剤に変更した。さらに歯周外科治療の結...

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Published in日本歯周病学会会誌 Vol. 43; no. 4; pp. 388 - 395
Main Authors 木戸, 淳一, 淺原, 洋士, 永田, 俊彦, 片岡, 正俊, 大石, 慶二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯周病学会 2001
日本歯周病学会
Subjects
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ISSN0385-0110
1880-408X
DOI10.2329/perio.43.388

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Summary:高血圧症および狭心症治療薬ニフェジピンを服用している患者の一部に歯肉増殖症が発現することが知られている。ニノェジピンはカルシワム拮抗作用を有し, 他のカルシワム拮抗剤 (ベラパミル, ジルチアゼムなど) でも同様の副作用が発現すると言われている。本症例報告ではカルシウム拮抗剤・塩酸マニジピンを服用している69歳男性にみられた歯肉増殖症の症例について紹介する。増殖歯肉は全顎的に認められ, 下顎前歯部と下顎右側臼歯部で著明であった。この症例は成人性歯周炎を伴った歯肉増殖症であることから, 徹底的な歯周基本治療を行い, 同時に服用薬剤をアンギオテンシン変換酵素阻害剤に変更した。さらに歯周外科治療の結果, 増殖歯肉は除去されプロービング値もすべて3mm以内に改善した。現在, 再発も認められずメインテナンスを行っている。本症例を通じて, 成人性歯周炎を伴う歯肉増殖症における歯周基本治療の重要性と歯周外科治療の必要性を確認するとともに, 今後ニフェジピン以外のカルシウム拮抗剤で歯肉増殖症を起こす患者が増加する可能性が示唆された。
ISSN:0385-0110
1880-408X
DOI:10.2329/perio.43.388