ウルソデオキシコール酸長期投与によって組織学的改善が得られた原発性胆汁性肝硬変の1例

64歳女性, PBC例にウルソデオキシコール酸600mg/日を約30ヵ月間投与し, その効果を検討した. ウルソデオキシコール酸投与中に, 血清ALP, γ-GTP, TBは著明に低下したが, 血清IgMはほとんど変化しなかった. また血清総胆汁酸値もウルソデオキシコール酸投与によってほとんど変化しなかったが, 血清胆汁酸組成に変化が認められ, ケノデオキシコール酸の絶対量と相対的濃度が減少し, ウルソデオキシコール酸の相対的濃度が増加した. ウルソデオキシコール酸投与前は組織学的に門脈域の拡大と小円形細胞浸潤を伴うScheuerのstage I PBCであったが, 第2回目の肝生検では, 門...

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Published in医療 Vol. 45; no. 4; pp. 376 - 381
Main Authors 香川, 和徳, 村上, 信三, 片山, 正一, 甲田, 徹三, 竹崎, 英一, 大森, 仁也, 山根, 哲実, 弘井, 正, 西林, 宏之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1991
国立医療学会
Subjects
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.45.376

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Summary:64歳女性, PBC例にウルソデオキシコール酸600mg/日を約30ヵ月間投与し, その効果を検討した. ウルソデオキシコール酸投与中に, 血清ALP, γ-GTP, TBは著明に低下したが, 血清IgMはほとんど変化しなかった. また血清総胆汁酸値もウルソデオキシコール酸投与によってほとんど変化しなかったが, 血清胆汁酸組成に変化が認められ, ケノデオキシコール酸の絶対量と相対的濃度が減少し, ウルソデオキシコール酸の相対的濃度が増加した. ウルソデオキシコール酸投与前は組織学的に門脈域の拡大と小円形細胞浸潤を伴うScheuerのstage I PBCであったが, 第2回目の肝生検では, 門脈域の小細胞浸潤は著明に軽減し, 線維成分の消失が認められた. 以上の結果より, PBCに対して, ウルソデオキシコール酸長期投与は安全で, 症例によっては, 組織学的改善をも得ることができる有効な治療法であることが示唆された.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.45.376