トラネキサム酸は血管内皮細胞のIgE透過性亢進を抑制する

I型アレルギーの病態は, IgE, 抗原, 標的細胞, サイトカインなどの相互作用, およびそれらの統合的結果により形成される. 特に, IgEの関与は重要であり, 病態の中心像形成の担い手である. 従来よりIgE産生細胞の確定1~4), IgE産生を惹起するサイトカインの同定5~10), IgE受容体の構造11), 標的細胞の特定, 化学伝達物質の活性と作用部位の特定などの研究12, 13)は行われている. しかしながら, これらの研究はいずれも, 生体反応の結果からの要素還元的な解析である. IgEの標的細胞に到達する経路や, それを制御, または統御しているシステムに関する研究はみられて...

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Published in炎症・再生 Vol. 21; no. 6; pp. 659 - 664
Main Authors 仲宗根, 敏幸, 花城, 和彦, 渡慶次, 賀博, 中村, 真理子, 小杉, 忠誠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本炎症・再生医学会 2001
日本炎症・再生医学会
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ISSN1346-8022
1880-5795
DOI10.2492/jsir.21.659

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Summary:I型アレルギーの病態は, IgE, 抗原, 標的細胞, サイトカインなどの相互作用, およびそれらの統合的結果により形成される. 特に, IgEの関与は重要であり, 病態の中心像形成の担い手である. 従来よりIgE産生細胞の確定1~4), IgE産生を惹起するサイトカインの同定5~10), IgE受容体の構造11), 標的細胞の特定, 化学伝達物質の活性と作用部位の特定などの研究12, 13)は行われている. しかしながら, これらの研究はいずれも, 生体反応の結果からの要素還元的な解析である. IgEの標的細胞に到達する経路や, それを制御, または統御しているシステムに関する研究はみられていない. さらには, 循環血中IgEの組織への移行, 組織内の標的細胞への到達経路, 標的細胞結合後のIgEの運命などに関する研究はみられていない. 言い換えれば, 要素還元的基礎的研究と臨床的研究との中間に立場をおいて, IgEの生体内運命の解析をした研究は少ない.
ISSN:1346-8022
1880-5795
DOI:10.2492/jsir.21.659