早期発症型歯周炎を発現する1家族の宿主細胞機能所見

早期発症型歯周炎を発症している家族 (母親とその娘2人) の歯周病病態を宿主防御細胞機能に重点を置いて解析した。母親 (40歳) は急速進行性歯周炎, 娘A (14歳) は限局性若年性歯周炎, そして娘B (13歳) は単純性歯肉炎と臨床診断した。好中球機能は, 母親が遊走能において低かった。CD4陽性細胞検出率およびT4/ T8は母娘全員が高い値を示した。CD3抗体で刺激したときのTリンパ球増殖活性は, 娘Bが低かった。HLAフェノタイプは, 母娘で共通してDQw 1とw3およびDRw 10とw 12を検出した。Actinobacillus actinomycetem-comitansに対し...

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Published in日本歯周病学会会誌 Vol. 34; no. 1; pp. 204 - 212
Main Authors 千原, 敏裕, 永井, 淳, 阿久津, 功, 本行, 博, 高橋, 慶壮, 清水, 尚子, 谷本, 一郎, 島袋, 修, 藤田, 直子, 宮本, 学, 高柴, 正悟, 後藤, 弘幸, 西村, 英紀, 磯島, 修, 清水, 秀樹, 栗原, 英見, 野村, 慶雄, 村山, 洋二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯周病学会 1992
日本歯周病学会
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Summary:早期発症型歯周炎を発症している家族 (母親とその娘2人) の歯周病病態を宿主防御細胞機能に重点を置いて解析した。母親 (40歳) は急速進行性歯周炎, 娘A (14歳) は限局性若年性歯周炎, そして娘B (13歳) は単純性歯肉炎と臨床診断した。好中球機能は, 母親が遊走能において低かった。CD4陽性細胞検出率およびT4/ T8は母娘全員が高い値を示した。CD3抗体で刺激したときのTリンパ球増殖活性は, 娘Bが低かった。HLAフェノタイプは, 母娘で共通してDQw 1とw3およびDRw 10とw 12を検出した。Actinobacillus actinomycetem-comitansに対し母親, 娘Aおよび娘Bが, Porphyromonas gingivalisに対し母親と娘Bが, Fusobacterium nucleatum に対し母親が高いIgG抗体価を示した。本家族の歯周病発症機序は, 本研究において調cleべatたum生体防御機能の諸機能所見だけから, 明確にできるものではなかった。歯周病の病態解析には, さらに幅広い生体防御機構のネットワークを念頭に置く必要がある。
ISSN:0385-0110
1880-408X
DOI:10.2329/perio.34.204