内腸骨動脈領域神経鞘腫をともなった下部直腸カルチノイドの1切除例

症例は65歳,男性.主訴は血便.下部直腸左壁カルチノイド腫瘍と診断され内視鏡治療を施行.径6mmだが,sm,v1,少数高度異型核を認め,転移危険因子があり追加切除となった.CT検査にて左内腸骨動脈領域に約30mmの結節を認め,リンパ節転移が疑われた.開腹低位前方切除術,D3郭清(lat,prx),回腸人工肛門造設を施行.左骨盤神経叢,内腸骨動脈を合併切除した.病理組織所見にて遺残腫瘍はなく,リンパ節転移も認めなかった.左側方リンパ節として切除した腫瘍はS-100 protein陽性,CD34陽性で良性神経鞘腫であった.3カ月後人工肛門閉鎖,術後排尿障害は認めなかった.骨盤内腫瘍の術前診断は困難...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 62; no. 4; pp. 262 - 266
Main Authors 佐藤, 貴弘, 細沼, 知則, 田代, 浄, 石井, 利昌, 喜多, 宏人, 山口, 茂樹, 小澤, 修太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2009
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.62.262

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Summary:症例は65歳,男性.主訴は血便.下部直腸左壁カルチノイド腫瘍と診断され内視鏡治療を施行.径6mmだが,sm,v1,少数高度異型核を認め,転移危険因子があり追加切除となった.CT検査にて左内腸骨動脈領域に約30mmの結節を認め,リンパ節転移が疑われた.開腹低位前方切除術,D3郭清(lat,prx),回腸人工肛門造設を施行.左骨盤神経叢,内腸骨動脈を合併切除した.病理組織所見にて遺残腫瘍はなく,リンパ節転移も認めなかった.左側方リンパ節として切除した腫瘍はS-100 protein陽性,CD34陽性で良性神経鞘腫であった.3カ月後人工肛門閉鎖,術後排尿障害は認めなかった.骨盤内腫瘍の術前診断は困難な事が多く,本例のように転移危険因子を持つ下部直腸カルチノイド腫瘍におけるリンパ節転移と神経鞘腫の鑑別は現状では困難である.骨盤内腫瘍の診断治療法について文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.62.262