肺扁平上皮癌術後経過中に皮脂欠乏性湿疹によるSCC上昇を認めた1例

症例は63歳男性.肺扁平上皮癌根治術後で経過観察中であった.術後14ヵ月目, 腫瘍マーカーSCCが16.0ng/mι(cut off 1.5ng/ml以下)の異常高値を示した.肺癌の再発を疑い全身精査を施行したが異常所見は認めなかった.同時期に体幹及び前頭部を中心に皮脂欠乏性湿疹を発症していた.治療による皮膚症状改善後の血中SCCレベルは正常化していた.SCC上昇は皮膚病変に伴う偽陽性反応であったと考えられた.SCCは肺扁平上皮癌において臨床上有用な腫瘍マーカーであるが, 皮膚炎症性疾患に伴い偽陽性を示すことがあり, 慎重に診断を行う必要があると考えられた....

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 20; no. 1; pp. 40 - 43
Main Authors 井上, 政昭, 安元, 公正, 能勢, 直弘, 小舘, 満太郎, 鬼塚, 貴光
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2006
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.20.40

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Summary:症例は63歳男性.肺扁平上皮癌根治術後で経過観察中であった.術後14ヵ月目, 腫瘍マーカーSCCが16.0ng/mι(cut off 1.5ng/ml以下)の異常高値を示した.肺癌の再発を疑い全身精査を施行したが異常所見は認めなかった.同時期に体幹及び前頭部を中心に皮脂欠乏性湿疹を発症していた.治療による皮膚症状改善後の血中SCCレベルは正常化していた.SCC上昇は皮膚病変に伴う偽陽性反応であったと考えられた.SCCは肺扁平上皮癌において臨床上有用な腫瘍マーカーであるが, 皮膚炎症性疾患に伴い偽陽性を示すことがあり, 慎重に診断を行う必要があると考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.20.40