輸血に関するインシデント事例の検討

輸血事故は患者生命に対する重篤な侵襲を引き起こす恐れが極めて大きいことと, 医療従事者のみならず患者家族, さらに第三者に対してもその態様が比較的明瞭に伝わることから, 衆目の関心が非常に高い事象である. 輸血事故の発生状況に関する調査研究は既に平成12年に「日本輸血学会」によって行われているものの1), わが国では事故に至らないインシデントの状況等に関する研究はほとんど行われていない. 本研究はインシデント事例について, その発生状況や特徴等を分析することにより, 講ずべきインシデント対策, さらに輸血事故発生の防止の手法を確立することにより, 輸血医療の安全性を向上させることが目的である....

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 49; no. 3; pp. 419 - 425
Main Authors 柴田, 洋一, 大井田, 隆, 高橋, 孝喜, 佐川, 公矯, 河原, 和夫, 坂本, 久浩, 比留間, 潔, 松崎, 道男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 2003
日本輸血学会
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ISSN0546-1448
1883-8383
DOI10.3925/jjtc1958.49.419

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Summary:輸血事故は患者生命に対する重篤な侵襲を引き起こす恐れが極めて大きいことと, 医療従事者のみならず患者家族, さらに第三者に対してもその態様が比較的明瞭に伝わることから, 衆目の関心が非常に高い事象である. 輸血事故の発生状況に関する調査研究は既に平成12年に「日本輸血学会」によって行われているものの1), わが国では事故に至らないインシデントの状況等に関する研究はほとんど行われていない. 本研究はインシデント事例について, その発生状況や特徴等を分析することにより, 講ずべきインシデント対策, さらに輸血事故発生の防止の手法を確立することにより, 輸血医療の安全性を向上させることが目的である. 方法 輸血事故防止対策や血液製剤の適正使用が進んでいるわが国の代表的な6病院(A, B, C, D, E, F病院とする)について過去の輸血行為に伴うインシデント事例の発生状況に関する調査分析を行った. 病床規模は, いずれも輸血部門が設置されている700~1, 200床の大規模病院である.
ISSN:0546-1448
1883-8383
DOI:10.3925/jjtc1958.49.419