フルルビプロフェンは, 破骨細胞と骨吸収を抑制する

非ステロイド系抗炎症薬フルルビプロフェンは, 歯科領域において歯周外科手術を含めた小手術の鎮痛・消炎薬として用いられている。このフルルビプロフェンの骨代謝における作用機序を検討する目的で, 骨吸収に対する作用をRaiszの器官培養系を用いて, また破骨細胞の形成をヒト血液幹細胞の芽球を用いて検討した。その結果, Raiszの系で10-7Mのフルルビプロフェンは, PTHおよびIL-1に誘導される45Caの遊離を抑制した。さらに非付着性未分化単核細胞を用いた破骨細胞形成系において, 10-10~10-7Mのフルルビプロフェンは濃度依存的に破骨細胞の形成を抑制した。さらにCD34陽性単核細胞のCF...

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Published in日本歯周病学会会誌 Vol. 35; no. 4; pp. 655 - 660
Main Authors 穴井, 恭市, 池田, 克已, 栗原, 裕子, 栗原, 徳善, 辰巳, 順一, 河田, 克之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯周病学会 1993
日本歯周病学会
Subjects
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ISSN0385-0110
1880-408X
DOI10.2329/perio.35.655

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Summary:非ステロイド系抗炎症薬フルルビプロフェンは, 歯科領域において歯周外科手術を含めた小手術の鎮痛・消炎薬として用いられている。このフルルビプロフェンの骨代謝における作用機序を検討する目的で, 骨吸収に対する作用をRaiszの器官培養系を用いて, また破骨細胞の形成をヒト血液幹細胞の芽球を用いて検討した。その結果, Raiszの系で10-7Mのフルルビプロフェンは, PTHおよびIL-1に誘導される45Caの遊離を抑制した。さらに非付着性未分化単核細胞を用いた破骨細胞形成系において, 10-10~10-7Mのフルルビプロフェンは濃度依存的に破骨細胞の形成を抑制した。さらにCD34陽性単核細胞のCFU-GMコロニー形成においてフルルビプロフェンは, 10-10~10-6Mで有意な抑制は示さなかった。以上の結果, フルルビプロフェンは破骨細胞の前駆細胞に働き, その形成の抑制と直接破骨細胞に働くことにより骨吸収が抑制されることなどが示唆された。
ISSN:0385-0110
1880-408X
DOI:10.2329/perio.35.655