肝硬変の経過観察中に同時性三重複癌が発症した1例

症例は63歳男性. 平成元年11月肝硬変と胆嚢胆石の診断で近医より紹介され, 第一回目の入院となった. 超音波検査にて肝右葉に径13mmと径10mmの結節性病変を検出した. 血管造影, 超音波映像下肝生検を施行するも悪性所見得られず, 退院となる. 通院中, 肝内の病変はパターン, 大きさとも変化なかった. 平成2年8月, 右側腹部痛を訴え第二回目の入院となった. 注腸造影により, Borrmann 2型の上行結腸癌と診断した. また胃内視鏡では, 胃角部にIIa型早期胃癌を認めた. 平成2年10月, 胃切除術, 右結腸半切除術, 胆摘術を施行. また術中超音波検査により, 肝左葉にも径10m...

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Published in医療 Vol. 46; no. 8; pp. 639 - 643
Main Authors 岩崎, 正彦, 高橋, 淳, 古瀬, 純司, 平澤, 晃, 脇田, 久, 伊藤, 国明, 野崎, 忠信, 谷山, 新次, 新井, 竜夫, 白井, 芳則, 山崎, 武
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1992
国立医療学会
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Summary:症例は63歳男性. 平成元年11月肝硬変と胆嚢胆石の診断で近医より紹介され, 第一回目の入院となった. 超音波検査にて肝右葉に径13mmと径10mmの結節性病変を検出した. 血管造影, 超音波映像下肝生検を施行するも悪性所見得られず, 退院となる. 通院中, 肝内の病変はパターン, 大きさとも変化なかった. 平成2年8月, 右側腹部痛を訴え第二回目の入院となった. 注腸造影により, Borrmann 2型の上行結腸癌と診断した. また胃内視鏡では, 胃角部にIIa型早期胃癌を認めた. 平成2年10月, 胃切除術, 右結腸半切除術, 胆摘術を施行. また術中超音波検査により, 肝左葉にも径10mmと径5mmの結節性病変を認め, 同部位を襖状切除した. Edmondson II型の肝細胞癌と, 結腸癌からの転移性肝癌と診断された. 平成3年3月, 癌性胸膜炎のため第三回目の入院となり, 平成3年4月, 呼吸不全により死亡した.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.46.639