超硬X線(リニアツク)治療により腫瘍の縮小をみた肺癌の4症例とその剖検所見

肺癌の多くの例は非常に進行した状態で発見され, 根治手術も根治的放射線治療もできない. 従つて大部分は保存的な放射線治療を行うことになる. しかし治療装置の進歩と照射技術の改良により治療成績は改善の傾向を示している. 国療中野病院では昭和50年12月以来4MeVのリニアツクによる肺癌の放射線治療を開始し51年10月現在で64例に治療を行つた. これらの中でX線所見上著明な陰影縮小を認め, 剖検所見を得られた4例について報告する. 総腫瘍線量5050~7000rad. 1回線量200~300rad, 週5~3回法で, いずれも前後2門照射である. 照射終了後の生存期間はこの4例では2~18週であ...

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Published in医療 Vol. 31; no. 9; pp. 989 - 994
Main Authors 山内, 則子, 飯尾, 正明, 新海, 明彦, 田島, 洋, 羽田, 円城, 平田, 正信, 平野, 直
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1977
医療同好会
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Summary:肺癌の多くの例は非常に進行した状態で発見され, 根治手術も根治的放射線治療もできない. 従つて大部分は保存的な放射線治療を行うことになる. しかし治療装置の進歩と照射技術の改良により治療成績は改善の傾向を示している. 国療中野病院では昭和50年12月以来4MeVのリニアツクによる肺癌の放射線治療を開始し51年10月現在で64例に治療を行つた. これらの中でX線所見上著明な陰影縮小を認め, 剖検所見を得られた4例について報告する. 総腫瘍線量5050~7000rad. 1回線量200~300rad, 週5~3回法で, いずれも前後2門照射である. 照射終了後の生存期間はこの4例では2~18週であつた. 組織型は喀痰細胞診で未分化癌3例, 腺癌1例である. 剖検時の肉眼所見では全例に腫瘍の縮小を認め, 組織像では瘢痕様結合織中に癌組織の遺残を認めた. 局所的には有効であつたと考える. 治療効果を高め, 副障害をいかに少なくするかが今後の課題である.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.31.989