ギランバレー症候群に自己免疫性溶血性貧血を併発した一症例

ギランバレー症候群(GBS)は運動神経障害を主症状とし, 発症機序の主因は自己抗体と考えられており, その標的分子としてガングリオシドが有力視されている. ガングリオシドはシアル酸を有する酸性糖脂質であり, 中枢および末梢神経ミエリンに豊富に存在する. 末梢ミエリンに存在するガングリオシドにはGM1, GD1bなどがあり, GBSや慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチーなどの末梢神経障害の際にこれらに対する抗体の存在が報告されている1)~9). また, ガングリオシドの中でもGM3は赤血球膜に豊富に存在することが知られている10). 今回, 抗GM1, asialo-GM1, GD1b, GM3...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 47; no. 3; pp. 390 - 394
Main Authors 岩田, 由守, 柴田, 宏, 益田, 順一, 三島, 清司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 2001
日本輸血学会
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ISSN0546-1448
1883-8383
DOI10.3925/jjtc1958.47.390

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Summary:ギランバレー症候群(GBS)は運動神経障害を主症状とし, 発症機序の主因は自己抗体と考えられており, その標的分子としてガングリオシドが有力視されている. ガングリオシドはシアル酸を有する酸性糖脂質であり, 中枢および末梢神経ミエリンに豊富に存在する. 末梢ミエリンに存在するガングリオシドにはGM1, GD1bなどがあり, GBSや慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチーなどの末梢神経障害の際にこれらに対する抗体の存在が報告されている1)~9). また, ガングリオシドの中でもGM3は赤血球膜に豊富に存在することが知られている10). 今回, 抗GM1, asialo-GM1, GD1b, GM3抗体陽性のGBSに直接Coobms陽性の自己免疫性溶血性貧血(AIHA)を併発した症例を経験したので報告する. 症例 症例:68歳男性. 主訴:両上下肢脱力. 現病歴:1999年5月末頃より感冒様症状が出現したが自然に軽快した. その際に下痢は認めなかった.
ISSN:0546-1448
1883-8383
DOI:10.3925/jjtc1958.47.390