簡便な拾い上げ基準を用いたHNPCC症例スクリーニングの有効性

遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC)は若年·多発癌発症などの特長があり発症者や保因者の同定は重要である.しかし,一般臨床において十分に拾い上げが行われているとはいえない.我々は独自に,認知しやすい拾い上げ基準(広島大学基準)を設定し拾い上げを試みた.広島大学基準は(1)50歳以下(2)多発癌(3)多臓器重複癌のいずれかを満たすものとし,2003年1月から2007年5月に当科で手術を施行した原発性結腸·直腸癌症例372例を対象に検討を行った.拾い上げ基準に合致した95例のうち希望した25例に遺伝子カウンセリングを行い,その中の18例に遺伝子検査を行った.その結果18例中7例にHNPCC関連遺...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 62; no. 5; pp. 323 - 327
Main Authors 吉田, 誠, 池田, 聡, 檜井, 孝夫, 吉満, 政義, 高倉, 有二, 住谷, 大輔, 竹田, 春華, 川口, 康夫, 下村, 学, 徳永, 真和, 川堀, 勝史, 大段, 秀樹, 岡島, 正純
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2009
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Summary:遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC)は若年·多発癌発症などの特長があり発症者や保因者の同定は重要である.しかし,一般臨床において十分に拾い上げが行われているとはいえない.我々は独自に,認知しやすい拾い上げ基準(広島大学基準)を設定し拾い上げを試みた.広島大学基準は(1)50歳以下(2)多発癌(3)多臓器重複癌のいずれかを満たすものとし,2003年1月から2007年5月に当科で手術を施行した原発性結腸·直腸癌症例372例を対象に検討を行った.拾い上げ基準に合致した95例のうち希望した25例に遺伝子カウンセリングを行い,その中の18例に遺伝子検査を行った.その結果18例中7例にHNPCC関連遺伝子の異常を認め,18例中広島大学基準のみを満たした7例のうち2例にhMLH1の異常を認めた.一般臨床での認知と適切な拾い上げにより保因者を特定し,治療およびサポートを行う臨床的意義は大きいと考えられた.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.62.323