成人型アトピー性皮膚炎に対する長期ステロイド外用療法の効果と予後

近年, 難治性の成人型アトピー性皮膚炎患者の増加に伴い, 従来, 繁用されていた本症に対するステロイド外用療法について, その有効性について否定的な見解を示す論文も1)~3)発表され, また患者自身のステロイド恐怖症の増加に伴い, アトピー性皮膚炎に対する基本的な治療方針についても, 再検討の時が来ているとも考えられる. そこで今回, 本症に対するステロイド外用療法の見直しの一端として, 成人型アトピー性皮膚炎患者の治療経過につき, 自験例につき検討したので報告する. 「調査対象」当科では疾患別の患者台帳を作製していないため, 過去数年間に当科外来を受診し, 筆者が診療した成人型アトピー性皮膚...

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Published in医療 Vol. 50; no. 8; pp. 570 - 572
Main Authors 中内, 洋一, 後藤, 敦子, 広瀬, 幹子, 渡辺, 孝宏, 湧川, 基史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1996
国立医療学会
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Summary:近年, 難治性の成人型アトピー性皮膚炎患者の増加に伴い, 従来, 繁用されていた本症に対するステロイド外用療法について, その有効性について否定的な見解を示す論文も1)~3)発表され, また患者自身のステロイド恐怖症の増加に伴い, アトピー性皮膚炎に対する基本的な治療方針についても, 再検討の時が来ているとも考えられる. そこで今回, 本症に対するステロイド外用療法の見直しの一端として, 成人型アトピー性皮膚炎患者の治療経過につき, 自験例につき検討したので報告する. 「調査対象」当科では疾患別の患者台帳を作製していないため, 過去数年間に当科外来を受診し, 筆者が診療した成人型アトピー性皮膚炎の症例につき, retrospectiveに初診以来の治療内容とその経過につき検索した. その結果59例の本症患者がリストアップされたが, 今回はそのうちから5年以上の長期にわたり治療を続けている13症例につき検討した. 「調査結果」対象症例の年齢は18歳から69歳までで, 60歳以上の症例2例を含み, 男性9名, 女性4名であった(Table 1).
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.50.570