Er: YAGレーザー照射によるリポポリサッカライドの変化

近年, 歯科保存領域での高出力レーザーの研究は活発に行われているが, その作用機序や効果についてはいまだ解明されていない。また, 歯周治療において主にスケーリング, ルートプレーニングによる除去が行われているリポポリサッカライド (LPS) は, 様々な生物活性による起炎物質と考えられている。そこで, 今回我々はEr: YAGレーザー照射におけるエネルギー密度 (5, 10, 15, 20J/cm2) の違いによるLPSの変化を調べる目的で, LPSの除去率および化学的変化について比較検討し, さらに, 照射による歯質への影響を調べるため歯根表面性状についても検索した。LPSの除去率はカバーグ...

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Published in日本歯周病学会会誌 Vol. 40; no. 1; pp. 79 - 87
Main Authors 山口, 博康, 野村, 典生, 新井, 高, 長田, 玲子, 中村, 治郎, 小林, 一行, 櫻庭, 栄一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯周病学会 1998
日本歯周病学会
Subjects
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ISSN0385-0110
1880-408X
DOI10.2329/perio.40.79

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Summary:近年, 歯科保存領域での高出力レーザーの研究は活発に行われているが, その作用機序や効果についてはいまだ解明されていない。また, 歯周治療において主にスケーリング, ルートプレーニングによる除去が行われているリポポリサッカライド (LPS) は, 様々な生物活性による起炎物質と考えられている。そこで, 今回我々はEr: YAGレーザー照射におけるエネルギー密度 (5, 10, 15, 20J/cm2) の違いによるLPSの変化を調べる目的で, LPSの除去率および化学的変化について比較検討し, さらに, 照射による歯質への影響を調べるため歯根表面性状についても検索した。LPSの除去率はカバーグラスに50EU/mlに調製したLPSを5μl滴下し乾燥後, レーザー照射を行い照射後のLPS量を測定し, 照射前後のLPS量から除去率を算出した。また, LPSの化学的変化の観察はLPSの凍結乾燥物に対し照射を行い, 照射前後のLPSに対しSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動を行い比較検討した。歯根表面性状については抜去歯からペレットを作製し, 照射前後の歯根表面の走査型電子顕微鏡観察を行った。 レーザー照射後のLPSの除去率は, エネルギー密度が上昇するほど高く, 化学的変化は, 電気泳動上で10~40kDaや高分子領域 (97kDa付近) のタンパク成分の部分的な減少傾向として認められた。また, 歯根表面性状はすべての照射条件で表面が粗となり, エネルギー密度が上昇するほど蒸散部位の直径は有意に大きくなった
ISSN:0385-0110
1880-408X
DOI:10.2329/perio.40.79