乳頭異常分泌症に対する分泌液中CEA測定の有用性

乳頭異常分泌症18例に対して, 分泌液中のCEAをモノクロナール抗CEA抗体を用いたサンドイツチEIA法にて測定し, 以下の成績を得た. (1)乳癌8例のうち, CEA陽性は6例, 陰性(false negative)は2例であり, sensitivityは75%であつた. 反面, 良性疾患6例のCEA値はすべて陰性で, specificityは100%であつた. したがつて,全体としてのaccuracy rateは85.7%と優れた成績であつた. (2)分泌液中CEA値と塗沫細胞診(Papanicolaou)との相関についても検討した. 少なくともいずれかの検査法が陽性の症例では, 癌の可能...

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Published in医療 Vol. 43; no. 8; pp. 859 - 861
Main Authors 高塚, 雄一, 河原, 邦光, 岡村, 泰彦, 赤木, 謙三, 倉田, 明彦, 河原, 勉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1989
国立医療学会
Subjects
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.43.859

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Summary:乳頭異常分泌症18例に対して, 分泌液中のCEAをモノクロナール抗CEA抗体を用いたサンドイツチEIA法にて測定し, 以下の成績を得た. (1)乳癌8例のうち, CEA陽性は6例, 陰性(false negative)は2例であり, sensitivityは75%であつた. 反面, 良性疾患6例のCEA値はすべて陰性で, specificityは100%であつた. したがつて,全体としてのaccuracy rateは85.7%と優れた成績であつた. (2)分泌液中CEA値と塗沫細胞診(Papanicolaou)との相関についても検討した. 少なくともいずれかの検査法が陽性の症例では, 癌の可能性が極めて高かつた. しかし, 両検査法とも陰性の場合には癌はなかつた. (3)さらに, 乳頭異常分泌を呈した乳癌症例の特徴や分泌液中CEA値と組織CEA(酵素抗体法)についても言及した. 以上より, 乳頭異常分泌症においては, 分泌液中のCEA測定と細胞診を行うことによりTo乳癌の早期発見に寄与するものと考える.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.43.859