腹会陰式直腸切断・尾骨合併切除術を施行した坐骨直腸窩脂肪肉腫の1例

症例は38歳男性. 主訴は会陰部腫瘤. 坐骨直腸窩左側から腹膜反転部に達する腫瘤と右側に娘結節と思われる腫瘍を認め, 経皮的針生検の結果, 脂肪肉腫と診断された. 腫瘍被膜を十分な切除断端をもって切除するためには直腸肛門の温存は困難と考え, 腹会陰式直腸切断・尾骨合併切除術による腫瘍摘出術を施行した. 切除標本重量 : 1,950g, 左側腫瘍径 : 12×9×7cm, 右側腫瘍径 : 5×5×4cmで, 病理組織学的には粘液型脂肪肉腫と診断された. 術後補助療法として小骨盤腔へ40Gyの照射を行った. 約半年を経過した現在, 明らかな再発兆候は認めていない. 坐骨直腸窩に発生した脂肪肉腫に対...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 60; no. 6; pp. 347 - 353
Main Authors 中山, 吾郎, 小寺, 泰弘, 小池, 聖彦, 柴田, 純孝, 野垣, 正樹, 中尾, 昭公
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2007
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Summary:症例は38歳男性. 主訴は会陰部腫瘤. 坐骨直腸窩左側から腹膜反転部に達する腫瘤と右側に娘結節と思われる腫瘍を認め, 経皮的針生検の結果, 脂肪肉腫と診断された. 腫瘍被膜を十分な切除断端をもって切除するためには直腸肛門の温存は困難と考え, 腹会陰式直腸切断・尾骨合併切除術による腫瘍摘出術を施行した. 切除標本重量 : 1,950g, 左側腫瘍径 : 12×9×7cm, 右側腫瘍径 : 5×5×4cmで, 病理組織学的には粘液型脂肪肉腫と診断された. 術後補助療法として小骨盤腔へ40Gyの照射を行った. 約半年を経過した現在, 明らかな再発兆候は認めていない. 坐骨直腸窩に発生した脂肪肉腫に対し, 腹会陰式直腸切断・尾骨合併切除術による腫瘍摘出術を施行した後, 補助放射線療法を追加し, 良好な経過をとっている1例を経験したので若干の文献的考察を追加し報告する.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.60.347