肛門周囲膿瘍様の肛門転移を来した直腸癌の1切除例

直腸癌の肛門転移は全直腸癌の1%以下と非常に稀とされている.肛門転移の機序としては血行性,リンパ行性転移が多いがその他に口側の原発巣から遊離した癌細胞が肛門側腸管の痔瘻や手術瘢痕などの粘膜損傷部にimplantationすることにより転移を来した症例が報告されている.症例は70歳男性.検診で直腸Raに進行2型直腸癌を指摘され,低位前方切除術施行された.外来にて経過観察していたが,術後6カ月で肛門皮膚に腫瘤が出現した.同部からの生検の結果はadenocarcinomaであった.直腸癌肛門転移の疑いで当科入院,腹会陰式直腸切断術を施行された.術後病理所見からは脈管内伸展の可能性は低く,肛門陰窩への...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 63; no. 8; pp. 494 - 498
Main Authors 八木, 寛, 亀山, 仁史, 瀧井, 康公
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2010
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.63.494

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Summary:直腸癌の肛門転移は全直腸癌の1%以下と非常に稀とされている.肛門転移の機序としては血行性,リンパ行性転移が多いがその他に口側の原発巣から遊離した癌細胞が肛門側腸管の痔瘻や手術瘢痕などの粘膜損傷部にimplantationすることにより転移を来した症例が報告されている.症例は70歳男性.検診で直腸Raに進行2型直腸癌を指摘され,低位前方切除術施行された.外来にて経過観察していたが,術後6カ月で肛門皮膚に腫瘤が出現した.同部からの生検の結果はadenocarcinomaであった.直腸癌肛門転移の疑いで当科入院,腹会陰式直腸切断術を施行された.術後病理所見からは脈管内伸展の可能性は低く,肛門陰窩へのimplantationによる肛門周囲膿瘍様の転移様式で生じた肛門転移である可能性が考えられた.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.63.494