肥満児における脂肪肝のCT値による検討

小児肥満97例を対象に, 合計183回の腹部CT検査を行い, 肝脾CT値比から42例を脂肪肝と診断し, 他の所見と比較検討した. その結果, 肝脾CT値比と肥満度および収縮期血圧は有意の相関を認めた. また, 脂肪肝を有する症例は, 収縮期血圧, GOT, GPT, ChE, TC, TG, ApoB, インスリンで有意の高値を示した. 食事および運動療法により, 肥満度が改善すると肝脾CT値比も改善した. また, 肝脾CT値比の改善に伴いGPTは低下した. CT検査は, 脂肪肝の診断と経過観察に有用であった. また, 脂肪肝の小児CT診断基準は, 肝脾CT値比1.0未満が適当と思われた. C...

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Published in医療 Vol. 50; no. 6; pp. 425 - 429
Main Authors 五十嵐, 宏三, 内山, 聖, 富沢, 修一, 小澤, 寛二, 長沼, 賢寛, 遠山, 潤
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1996
国立医療学会
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.50.425

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Summary:小児肥満97例を対象に, 合計183回の腹部CT検査を行い, 肝脾CT値比から42例を脂肪肝と診断し, 他の所見と比較検討した. その結果, 肝脾CT値比と肥満度および収縮期血圧は有意の相関を認めた. また, 脂肪肝を有する症例は, 収縮期血圧, GOT, GPT, ChE, TC, TG, ApoB, インスリンで有意の高値を示した. 食事および運動療法により, 肥満度が改善すると肝脾CT値比も改善した. また, 肝脾CT値比の改善に伴いGPTは低下した. CT検査は, 脂肪肝の診断と経過観察に有用であった. また, 脂肪肝の小児CT診断基準は, 肝脾CT値比1.0未満が適当と思われた. CTなどの画像診断で脂肪肝と診断できない症例の中に, 過栄養による脂肪化からのGPT高値の症例が存在すると思われた. 以上より, 脂肪肝を伴う症例はすでにさまざまな障害が始まっており, 早期治療が必要と考えた.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.50.425