自己血保存におけるエンドトキシンの影響と保存前白血球除去の有用性

自己血輸血は, 同種血輸血と比較して輸血後GVHD, 抗体産生, アナフィラキシーなどの免疫学的副作用や, 輸血後感染症を回避できるという点で, 安全な輸血方法として積極的な導入が推進されている. また近年では, 消化器癌症例における待機的手術の輸血として, 自己血輸血を使用する例が増加している. しかしながら, 閉塞性黄疸を伴う症例で自己血輸血を行った場合, 製剤にエンドトキシンが混入し, 輸血後副作用を惹起する恐れがあることが指摘されている1). 一方, 同種血液製剤に対し, 欧米では製剤の品質向上および輸血後副作用対策として, 採血後速やかに白血球除去を行う保存前白血球除去(presto...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 50; no. 4; pp. 581 - 587
Main Authors 今井, 厚子, 森, 絵理子, 柳下, 明, 渡辺, 敬依子, 久保居, 由紀子, 大久保, 光夫, 大木, 浩子, 阿南, 昌弘, 平田, 蘭子, 島田, 崇史, 前田, 平生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 2004
日本輸血学会
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ISSN0546-1448
1883-8383
DOI10.3925/jjtc1958.50.581

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Summary:自己血輸血は, 同種血輸血と比較して輸血後GVHD, 抗体産生, アナフィラキシーなどの免疫学的副作用や, 輸血後感染症を回避できるという点で, 安全な輸血方法として積極的な導入が推進されている. また近年では, 消化器癌症例における待機的手術の輸血として, 自己血輸血を使用する例が増加している. しかしながら, 閉塞性黄疸を伴う症例で自己血輸血を行った場合, 製剤にエンドトキシンが混入し, 輸血後副作用を惹起する恐れがあることが指摘されている1). 一方, 同種血液製剤に対し, 欧米では製剤の品質向上および輸血後副作用対策として, 採血後速やかに白血球除去を行う保存前白血球除去(prestorage leukocyte reduction;PreSLR)を行っており, 有効であるとされている2). 今回我々は, エンドトキシンの混入が血液製剤に与える影響, およびその対策としてのPreSLRの有用性について検討した. 材料と方法 1. 採血 健常男性ボランティア12名から, 厚生労働省医薬安全局による自己血輸血のガイドラインに従い, CPDA-1入り血液バッグ(テルモ)を用い400mL採血した.
ISSN:0546-1448
1883-8383
DOI:10.3925/jjtc1958.50.581