SMON患者のサーモグラフィーによる冷水負荷回復率

SMON患者の下肢冷感はよく知られた自覚症状であるが, これが自律神経異常なのか感覚神経障害なのかについては, 客観的指標に乏しいこともあつて不明の点が多い. これらを明らかにするために, サーモグラフィーを用いて冷水負荷による皮膚温回復率(skin temperature recovery rate: STRR)などを測定した結果, 上肢のSTRRは健常対照者に比し1%の危険率で有意に低下していたが, 下肢については強度の下肢冷感を訴えていたにもかかわらず, STRRは年令の対応した健常者と比べて差異はなかつた. 以上の成績からSMON患者の上肢STRRに関しては異常を示し, 末梢循環障害の...

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Published in医療 Vol. 41; no. 5; pp. 461 - 463
Main Authors 中江, 弘子, 久野, 貞子, 西谷, 裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1987
国立医療学会
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Summary:SMON患者の下肢冷感はよく知られた自覚症状であるが, これが自律神経異常なのか感覚神経障害なのかについては, 客観的指標に乏しいこともあつて不明の点が多い. これらを明らかにするために, サーモグラフィーを用いて冷水負荷による皮膚温回復率(skin temperature recovery rate: STRR)などを測定した結果, 上肢のSTRRは健常対照者に比し1%の危険率で有意に低下していたが, 下肢については強度の下肢冷感を訴えていたにもかかわらず, STRRは年令の対応した健常者と比べて差異はなかつた. 以上の成績からSMON患者の上肢STRRに関しては異常を示し, 末梢循環障害の存在が示唆されたが, 下肢については予想に反して異常がみられないため, SMON患者の下肢冷感は自律神経障害というより, むしろ感覚神経障害の関与によるものと推定した.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.41.461