人口移動と食生活の関連
「1. はじめに 本研究の動機」食生活の要因に関する研究は決して少なくない. 食生活の栄養学を中心とする実験科学的研究は国際的にも注目すべき成果をあげている. しかし, 食生活の社会的, 経済的あるいは人口学的研究はなお著しくおくれている. 食生活が家庭内で行われるのが通常であり, しかも家庭という世帯は男女, 年齢の異なった人々で構成されており, 食生活のスタイルは性, 年齢によって異なっている. そのうえ, 食生活は食料の消費であるから, その家庭の所得水準が影響することになる. また, 教育水準や職業が食生活に強いかかわりをもっていることも明らかである. このように考えてくると, 食生活...
Saved in:
Published in | 日本栄養・食糧学会誌 Vol. 45; no. 1; pp. 1 - 8 |
---|---|
Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
1992
日本栄養・食糧学会 |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0287-3516 1883-2849 |
DOI | 10.4327/jsnfs.45.1 |
Cover
Summary: | 「1. はじめに 本研究の動機」食生活の要因に関する研究は決して少なくない. 食生活の栄養学を中心とする実験科学的研究は国際的にも注目すべき成果をあげている. しかし, 食生活の社会的, 経済的あるいは人口学的研究はなお著しくおくれている. 食生活が家庭内で行われるのが通常であり, しかも家庭という世帯は男女, 年齢の異なった人々で構成されており, 食生活のスタイルは性, 年齢によって異なっている. そのうえ, 食生活は食料の消費であるから, その家庭の所得水準が影響することになる. また, 教育水準や職業が食生活に強いかかわりをもっていることも明らかである. このように考えてくると, 食生活の社会的, 経済的, そして人口学的な諸要因による分析がきわめて重要であることが理解されよう. 食生活の社会科学的アプローチが必要である. 本研究はこのような食生活の社会科学的アプローチの一環であり, とくに人口学的現象としての人口移動から食生活を考察しようとしたものである. 人口移動という現象は, たんに人口学の研究領域であるのみならず, 人口地理学の分野にも属し, 同時に社会学や経済学からの関心も大きい研究領域でもある. |
---|---|
ISSN: | 0287-3516 1883-2849 |
DOI: | 10.4327/jsnfs.45.1 |