ミツバチの配偶システムとその機能性について

ミツバチやアリを含む真社会性ハチ目昆虫の集団は,女王を中心とする血縁個体で構成されており,この集団はコロニーと呼ばれる。血縁を基礎とする彼らの社会は極めて高度なものであり,個体間で採餌や育児といった労働の分業だけでなく,繁殖まで分業することにより高い生産性を実現している。このような社会を維持する機構と進化の背景には,個体間の協力の動機となるコロニーの血縁度や,コロニーの生存と関連した近親交配の程度に影響する,配偶の様式(システム)が大きく関わっている。セイヨウミツバチ(Apis mellifera)は,古くから配偶行動について研究されてきた真社会性の昆虫である。そして,非常に興味深い知見が今も...

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Published in比較生理生化学 Vol. 39; no. 2; pp. 98 - 106
Main Author 林, 晋也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本比較生理生化学会 01.08.2022
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ISSN0916-3786
1881-9346
DOI10.3330/hikakuseiriseika.39.98

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Summary:ミツバチやアリを含む真社会性ハチ目昆虫の集団は,女王を中心とする血縁個体で構成されており,この集団はコロニーと呼ばれる。血縁を基礎とする彼らの社会は極めて高度なものであり,個体間で採餌や育児といった労働の分業だけでなく,繁殖まで分業することにより高い生産性を実現している。このような社会を維持する機構と進化の背景には,個体間の協力の動機となるコロニーの血縁度や,コロニーの生存と関連した近親交配の程度に影響する,配偶の様式(システム)が大きく関わっている。セイヨウミツバチ(Apis mellifera)は,古くから配偶行動について研究されてきた真社会性の昆虫である。そして,非常に興味深い知見が今もなお得られている。本稿ではミツバチの配偶行動・システムを中心に解説するとともに,その繁殖上の問題や,それを回避するための機能的な面についても紹介する。
ISSN:0916-3786
1881-9346
DOI:10.3330/hikakuseiriseika.39.98