キャピラリー電気泳動による健常人および糖尿病発症初期患者の尿成分分析

SDSを含む緩衝液を用いたキャピラリー電気泳動により, 尿成分を分析する方法を考案した. この方法を用いて, 健常人をはじめ糖尿病患者のうち, 腎症前期症例, 早期腎症例について尿分析を試みた. その結果, 健常人では44, 腎症前期例では46, 早期腎症例では53のピークが検出された. それらのピークのうち10本のピークが同定された. CE-SDS標準蛋白分子量マーカーを用いたところ, 分子の大きさと分離時間との間には比例の関係がみられた. しかしながら, 糖鎖含有量の高いα1-AGやTHP蛋白では, 実際の分子の大きさよりも分離時間が遅く, 見かけ上分子量が大きく求められることがわかった....

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Published in生物物理化学 Vol. 42; no. 2; pp. 123 - 129
Main Authors 芝, 〓彦, 平塚, 信夫, 酒井, 伸枝, 芝, 紀代子, 保崎, 清人, 西田, 賢司, 椎名, 幸恵
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本電気泳動学会 1998
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ISSN0031-9082
1349-9785
DOI10.2198/sbk.42.123

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Summary:SDSを含む緩衝液を用いたキャピラリー電気泳動により, 尿成分を分析する方法を考案した. この方法を用いて, 健常人をはじめ糖尿病患者のうち, 腎症前期症例, 早期腎症例について尿分析を試みた. その結果, 健常人では44, 腎症前期例では46, 早期腎症例では53のピークが検出された. それらのピークのうち10本のピークが同定された. CE-SDS標準蛋白分子量マーカーを用いたところ, 分子の大きさと分離時間との間には比例の関係がみられた. しかしながら, 糖鎖含有量の高いα1-AGやTHP蛋白では, 実際の分子の大きさよりも分離時間が遅く, 見かけ上分子量が大きく求められることがわかった. 腎障害の進行に伴い, 高分子の成分が増加する傾向がみられた. また, 腎症前期例と早期腎症例では出現するピークも相違がみられることから, 各成分の同定をさらに行うことにより, 糖尿病患者における早期腎症の指標となりうることが示唆された.
ISSN:0031-9082
1349-9785
DOI:10.2198/sbk.42.123