SDA症例の咀嚼能率と義歯

Shortened dental archを支持する立場の研究は, 大臼歯欠損を放置した症例でも, 咬合は経年的にも安定しており, 顎関節に影響はみられず, また義歯による補綴介入の効果も明らかでないという論調が多い. しかし, これらの研究データを精査してみると, なぜこのような結論が導かれたのか理解に苦しむものもある. 今回は, 60歳以上の921名を対象としたデータから, SDAの頻度やその中での義歯装着者の割合, 義歯装着者と非装着者の咬合力や咀嚼能率の比較また, 患者の視点から見た治療法の選択などについて提示した. 今後SDA症例に対して, 義歯による口腔機能への効果を明らかにするた...

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Published in日本補綴歯科学会雑誌 Vol. 51; no. 4; pp. 710 - 716
Main Authors 池邉, 一典, 高橋, 利士, 枦山, 智博, 松田, 謙一, 野首, 孝祠, 権田, 知也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本補綴歯科学会 2007
日本補綴歯科学会
Subjects
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ISSN0389-5386
1883-177X
DOI10.2186/jjps.51.710

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Summary:Shortened dental archを支持する立場の研究は, 大臼歯欠損を放置した症例でも, 咬合は経年的にも安定しており, 顎関節に影響はみられず, また義歯による補綴介入の効果も明らかでないという論調が多い. しかし, これらの研究データを精査してみると, なぜこのような結論が導かれたのか理解に苦しむものもある. 今回は, 60歳以上の921名を対象としたデータから, SDAの頻度やその中での義歯装着者の割合, 義歯装着者と非装着者の咬合力や咀嚼能率の比較また, 患者の視点から見た治療法の選択などについて提示した. 今後SDA症例に対して, 義歯による口腔機能への効果を明らかにするためには, 義歯装着前後における口腔機能の変化を同一個人で比較する縦断研究や, 義歯装着症例と非装着症例を無作為に割り付けるランダム化比較研究が必要であると思われる.
ISSN:0389-5386
1883-177X
DOI:10.2186/jjps.51.710