骨改造現象の微細形態学的見解
「はじめに」骨は, 生物がカルシウムの豊富な海水から淡水を経て陸生へと進化する過程で, 支持と運動器の支柱として出現し, そこにミネラルを貯蔵し, 造血の場を提供する組織として発達してきた. 現存する最古の骨組織の化石は, 甲冑魚のアスピジンとして知られており, およそ3億5千万年以前に遡る. 骨の基質を構成する基本成分は, コラーゲンを主体とした有機基質とそこに沈着したカルシウム微結晶(ヒドロキシアパタイト)であり, 力学的に対応した組織構築を示す. しかし, このような剛体としての特徴をもった骨組織は, その基本的形態を維持しながら, 常に新しい骨組織に置き代わっており, 成長期の大腿骨で...
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Published in | 日本補綴歯科学会雑誌 Vol. 42; no. 3; pp. 359 - 368 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
社団法人 日本補綴歯科学会
1998
日本補綴歯科学会 |
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ISSN | 0389-5386 1883-177X |
DOI | 10.2186/jjps.42.359 |
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Summary: | 「はじめに」骨は, 生物がカルシウムの豊富な海水から淡水を経て陸生へと進化する過程で, 支持と運動器の支柱として出現し, そこにミネラルを貯蔵し, 造血の場を提供する組織として発達してきた. 現存する最古の骨組織の化石は, 甲冑魚のアスピジンとして知られており, およそ3億5千万年以前に遡る. 骨の基質を構成する基本成分は, コラーゲンを主体とした有機基質とそこに沈着したカルシウム微結晶(ヒドロキシアパタイト)であり, 力学的に対応した組織構築を示す. しかし, このような剛体としての特徴をもった骨組織は, その基本的形態を維持しながら, 常に新しい骨組織に置き代わっており, 成長期の大腿骨では新旧骨組織の交代に2年とかからない. 成人の場合でも全骨格の3~5%は常に置き代わっており, このような現象を骨改造(リモデリング)と呼び, 骨代謝の基本となっている. さらに, 血中のCa濃度が低下するとカルシウム調節ホルモンの作用により, 骨からCaが動員され, ミネラルの恒常性維持に深く関与する. |
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ISSN: | 0389-5386 1883-177X |
DOI: | 10.2186/jjps.42.359 |