実験的歯科処置に対するインフォームドコンセントのストレス緩和効果

「I. 緒言」歯科治療の特質として, 患者は少なからず不安や恐怖感を持って来院することがよく知られている. また歯科治療は, 患者に疼痛刺激を与える機会も多く, 程度の差はあってもこれらの精神的および肉体的ストレスが原因となり, 歯科の受診を遠ざけている背景も否定できない. また偶発事故としての種々の身体反応もよく経験する. 大村ら1)によれば, 歯科治療に関して疼痛や医師との信頼関係など約80%の患者が何らか. の不安を訴えている. このような歯科治療の特異性のなかで, 最近特に治療時のインフォームドコンセントの重要性が指摘されているが, その効果については誰しも概念的に認めてはいるが, 科...

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Published in日本補綴歯科学会雑誌 Vol. 42; no. 1; pp. 124 - 134
Main Author 島谷, 肇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本補綴歯科学会 1998
日本補綴歯科学会
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ISSN0389-5386
1883-177X
DOI10.2186/jjps.42.124

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Summary:「I. 緒言」歯科治療の特質として, 患者は少なからず不安や恐怖感を持って来院することがよく知られている. また歯科治療は, 患者に疼痛刺激を与える機会も多く, 程度の差はあってもこれらの精神的および肉体的ストレスが原因となり, 歯科の受診を遠ざけている背景も否定できない. また偶発事故としての種々の身体反応もよく経験する. 大村ら1)によれば, 歯科治療に関して疼痛や医師との信頼関係など約80%の患者が何らか. の不安を訴えている. このような歯科治療の特異性のなかで, 最近特に治療時のインフォームドコンセントの重要性が指摘されているが, その効果については誰しも概念的に認めてはいるが, 科学的に実証されていない現状がある. これまで歯科治療時のストレスを軽減することを目的として笑気吸入鎮静法2), 自律訓練法3), 音楽療法4)など多くの研究が行われているが, インフォームドコンセントにより患者との信頼関係を築くことが患者のストレス軽減につながり, 身体反応をどの程度緩和抑制することができるかについて実験的に分析した研究は見当たらない.
ISSN:0389-5386
1883-177X
DOI:10.2186/jjps.42.124