義歯修理におけるバルビツール酸誘導体を用いた常温重合レジンと床用レジンとの接着性

「I.緒言」著者らは, 義歯床の修理を想定して, 床用レジンに常温重合レジンを強固に接着させる表面処理法について検討している1~3)が, これまでは過酸化ベンゾイル(BPO)と芳香族第3級アミンのジメチルパラトルイジン(DMPT)の反応により硬化が始まる, いわば従来型の常温重合レジンを修理用レジンとして用いてきた. 一方, 近年硬化物の色調変化の改善を主な目的として, バルビツール酸誘導体, 第4級アンモニウム塩および有機金属化合物の3元系触媒を採用した新しい常温重合レジン4~6)が市販され, 臨床で急速に普及したようであるが, さらに改良が検討されている7, 8)ところである. このレジン...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本補綴歯科学会雑誌 Vol. 42; no. 5; pp. 815 - 822
Main Authors 吉永, 正治, 高橋, 裕, 羽生, 哲也, 清水, 博史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本補綴歯科学会 1998
日本補綴歯科学会
Online AccessGet full text
ISSN0389-5386
1883-177X
DOI10.2186/jjps.42.815

Cover

More Information
Summary:「I.緒言」著者らは, 義歯床の修理を想定して, 床用レジンに常温重合レジンを強固に接着させる表面処理法について検討している1~3)が, これまでは過酸化ベンゾイル(BPO)と芳香族第3級アミンのジメチルパラトルイジン(DMPT)の反応により硬化が始まる, いわば従来型の常温重合レジンを修理用レジンとして用いてきた. 一方, 近年硬化物の色調変化の改善を主な目的として, バルビツール酸誘導体, 第4級アンモニウム塩および有機金属化合物の3元系触媒を採用した新しい常温重合レジン4~6)が市販され, 臨床で急速に普及したようであるが, さらに改良が検討されている7, 8)ところである. このレジンは色調の経時的変化が少なく, 機械的強さは市販されている各種の常温重合レジンとほぼ同程度で, 適合性はより優れているが, 床用レジンとの接着性には改良する点がある5)と指摘されている. そこで, 本研究はこのバルビツール酸誘導体を触媒系に用いた常温重合レジンと重合様式の異なる3種類の床用レジンとの接着性を検討し, さらにより強固に接着させる表面処理法を見い出そうとするものである.
ISSN:0389-5386
1883-177X
DOI:10.2186/jjps.42.815