多発肝膿瘍を伴った黄色肉芽腫性胆嚢炎の1例

症例は64歳男性. 右季肋部痛, 発熱を主訴に,当科入院した.入院時WBC17,600/μl,CRP18.7mg/dlと強度な炎症所見を伴い,腹部CT検査では著明に肥厚した胆嚢壁内および胆嚢床部とS4+S5を中心とした肝内に多発するlow density lesionを認めた.絶食,抗菌剤投与にて症状軽快し,入院21日目の腹部CTでは胆嚢壁および肝内のlow density lesionは著明に縮小した.画像および臨床経過から黄色肉芽腫性胆嚢炎・多発肝膿瘍を疑い,胆嚢摘出・残存肝膿瘍開窓術を施行した.病理組織所見では胆嚢壁内に異物多核巨細胞を含むgranulomatous lesionを認め,...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in胆道 Vol. 14; no. 4; pp. 379 - 384
Main Authors 増成, 秀樹, 遠藤, 格, 金谷, 剛, 藤井, 義郎, 窪田, 徹, 関戸, 仁, 渡会, 伸治, 嶋田, 紘, 河野, 尚美, 林, 嘉繁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2000
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:症例は64歳男性. 右季肋部痛, 発熱を主訴に,当科入院した.入院時WBC17,600/μl,CRP18.7mg/dlと強度な炎症所見を伴い,腹部CT検査では著明に肥厚した胆嚢壁内および胆嚢床部とS4+S5を中心とした肝内に多発するlow density lesionを認めた.絶食,抗菌剤投与にて症状軽快し,入院21日目の腹部CTでは胆嚢壁および肝内のlow density lesionは著明に縮小した.画像および臨床経過から黄色肉芽腫性胆嚢炎・多発肝膿瘍を疑い,胆嚢摘出・残存肝膿瘍開窓術を施行した.病理組織所見では胆嚢壁内に異物多核巨細胞を含むgranulomatous lesionを認め,黄色肉芽腫性胆嚢炎と診断した. 通常,黄色肉芽腫性胆嚢炎は胆嚢壁の一部に限局した病変を呈することが多く,胆嚢全体に病変が及ぶことは稀である.さらに多発肝膿瘍を伴った黄色肉芽腫性胆嚢炎の報告は本邦1例目であり,貴重な症例と考え報告した.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando1987.14.4_379