末梢血と骨髄にγδ型T細胞のクローン性増多をともなった筋炎の1例

症例は45歳男性である.10年以上におよぶ緩徐進行性の筋力低下を主訴に来院した.四肢近位筋に軽度の筋萎縮と筋力低下をみとめ,相対的リンパ球増多およびM蛋白血症を合併しており,末梢血と骨髄にγδ型T細胞の増多およびT細胞受容体γ鎖の遺伝子再構成をみとめたことからγδ型T細胞のクローン性増多が示唆された.筋生検で非壊死筋線維細胞膜上のMHC class I抗原の発現が亢進し,筋線維内へのγδ型T細胞の浸入像をみとめたことからγδ型T細胞が筋炎発症の病態に関与している可能性を考えた.シクロスポリンおよび副腎皮質ステロイド薬の投与で筋原性酵素の減少し,筋力の改善をみとめたが軽度の筋力低下が残存した....

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Published in臨床神経学 Vol. 52; no. 4; pp. 227 - 233
Main Authors 大島, 孝一, 大八木, 保政, 越智, 博文, 山下, 泰治, 吉良, 潤一, 石津, 尚明, 森, 康雄, 荒畑, 創
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2012
Subjects
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ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.52.227

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Summary:症例は45歳男性である.10年以上におよぶ緩徐進行性の筋力低下を主訴に来院した.四肢近位筋に軽度の筋萎縮と筋力低下をみとめ,相対的リンパ球増多およびM蛋白血症を合併しており,末梢血と骨髄にγδ型T細胞の増多およびT細胞受容体γ鎖の遺伝子再構成をみとめたことからγδ型T細胞のクローン性増多が示唆された.筋生検で非壊死筋線維細胞膜上のMHC class I抗原の発現が亢進し,筋線維内へのγδ型T細胞の浸入像をみとめたことからγδ型T細胞が筋炎発症の病態に関与している可能性を考えた.シクロスポリンおよび副腎皮質ステロイド薬の投与で筋原性酵素の減少し,筋力の改善をみとめたが軽度の筋力低下が残存した.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.52.227