採血部位消毒におけるポビドンヨードの有効性について
輸血用血液の細菌汚染に起因する輸血後敗血症は, ときに死亡に至る場合もあり, 重篤な輸血副作用のひとつにあげられる. 輸血後敗血症の危険率に関する報告は, さまざまだが, Hogmanらは赤血球製剤で0.003%(0.3/受血者10,000), 血小板製剤で0.11~0.5%(11~50/受血者10,000)であり, 他の輸血副作用に比べ高い危険率を有することを報告している1). 細菌汚染の原因の可能性については, (1)採血部位の皮膚常在菌による汚染, (2)無症候性菌血症献血者由来, (3)血液バッグの汚染, (4)調製工程中の汚染によるものと報告され, その半数以上が採血時の皮膚からの混...
Saved in:
Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 45; no. 1; pp. 20 - 25 |
---|---|
Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
1999
日本輸血学会 |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0546-1448 1883-8383 |
DOI | 10.3925/jjtc1958.45.20 |
Cover
Summary: | 輸血用血液の細菌汚染に起因する輸血後敗血症は, ときに死亡に至る場合もあり, 重篤な輸血副作用のひとつにあげられる. 輸血後敗血症の危険率に関する報告は, さまざまだが, Hogmanらは赤血球製剤で0.003%(0.3/受血者10,000), 血小板製剤で0.11~0.5%(11~50/受血者10,000)であり, 他の輸血副作用に比べ高い危険率を有することを報告している1). 細菌汚染の原因の可能性については, (1)採血部位の皮膚常在菌による汚染, (2)無症候性菌血症献血者由来, (3)血液バッグの汚染, (4)調製工程中の汚染によるものと報告され, その半数以上が採血時の皮膚からの混入としている1)~4). われわれは, 本学会誌においてBacillus cereus(B. cereus)による血小板製剤の細菌汚染例を報告し, その原因を採血部位からの混入と推定した5). またB. cereusは芽胞を有するため, 芽胞菌に対しても殺菌効果の有するポビドンヨードによる消毒が血小板製剤へのB. cereusの汚染を防止する一方策になりえることを報告した5). |
---|---|
ISSN: | 0546-1448 1883-8383 |
DOI: | 10.3925/jjtc1958.45.20 |