赤血球膜の脆弱な Rhnull 血液の冷凍保存法

血液センターにおける赤血球の冷凍保存の目的は, (1)感染症や免疫学的輸血副作用の予防対策, (2)自己血輸血への技術協力, (3)Rh(-)血液の確保対策, (4)まれな血液型赤血球(以下, まれ血と略す)の確保対策などであるが, (1)と(2)に関しては, 近年, 核酸増幅検査の導入, 自己血の採血・保存法の改良などにより, いずれもほとんど液状保存で行われるようになってきた. しかし, (3)と(4)の目的には冷凍保存は現在も重要であり, 特に, まれ血については緊急時対策として必須である. また, まれ血は貴重な血液であることから, 長期間冷凍保存できることも求められる. このような状...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 48; no. 6; pp. 465 - 472
Main Authors 宮原, 正行, 大熊, 重則, 直木, 恭子, 山村, 一, 内藤, 俊二, 佐藤, 泰司, 土岐, 博信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 2002
日本輸血学会
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:血液センターにおける赤血球の冷凍保存の目的は, (1)感染症や免疫学的輸血副作用の予防対策, (2)自己血輸血への技術協力, (3)Rh(-)血液の確保対策, (4)まれな血液型赤血球(以下, まれ血と略す)の確保対策などであるが, (1)と(2)に関しては, 近年, 核酸増幅検査の導入, 自己血の採血・保存法の改良などにより, いずれもほとんど液状保存で行われるようになってきた. しかし, (3)と(4)の目的には冷凍保存は現在も重要であり, 特に, まれ血については緊急時対策として必須である. また, まれ血は貴重な血液であることから, 長期間冷凍保存できることも求められる. このような状況下, 現在, 赤血球の冷凍保存の効期限は10年と規定されており, この期間においては, 赤血球の総ヘモグロビン量, ATP, 2, 3- DPG, morphology score等の保存指標は良好に維持されていることが報告されている1).
ISSN:0546-1448
1883-8383
DOI:10.3925/jjtc1958.48.465