コーピングを支台装置に組み込み, 金属構造義歯により咬合位の保持を図った一症例

「I. 症例の概要」患者:64歳(初診時), 男性. 初診:1994年5月(補綴科). 主訴:歯の動揺と欠損による咀嚼障害. 既往歴:25年前に結核に罹患した以外は全身的に特記事項はない. 歯科治療に関しては, 約7年前に歯周疾患のため右上5,6, 左上7を抜歯後, 他院にて上顎義歯を製作した. その後, 右上7の歯周疾患による疼痛および義歯不適合による咀嚼障害のため本学に来院し, 保存科にて右上7を抜歯した後, 義歯の維持不良および欠損部補綴のため補綴科を受診した. 現症:補綴科初診時の口腔内所見は右上1,3,4, 左上1-6, 左下1-3,5,7,8, 右下1-7が残存しており, 右上5,...

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Published in日本補綴歯科学会雑誌 Vol. 46; no. 2; pp. 277 - 278
Main Author 栗原, 大介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本補綴歯科学会 2002
日本補綴歯科学会
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ISSN0389-5386
1883-177X
DOI10.2186/jjps.46.277

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Summary:「I. 症例の概要」患者:64歳(初診時), 男性. 初診:1994年5月(補綴科). 主訴:歯の動揺と欠損による咀嚼障害. 既往歴:25年前に結核に罹患した以外は全身的に特記事項はない. 歯科治療に関しては, 約7年前に歯周疾患のため右上5,6, 左上7を抜歯後, 他院にて上顎義歯を製作した. その後, 右上7の歯周疾患による疼痛および義歯不適合による咀嚼障害のため本学に来院し, 保存科にて右上7を抜歯した後, 義歯の維持不良および欠損部補綴のため補綴科を受診した. 現症:補綴科初診時の口腔内所見は右上1,3,4, 左上1-6, 左下1-3,5,7,8, 右下1-7が残存しており, 右上5,6, 左上7欠損部に義歯を, 右上(1)2(3), 左下(5)6(7)にブリッジを装着していた. また, 天然歯による咬合は右上4, 左上4,5, 左下5, 右下5のみで保持されていた(図1-a). 動揺度は左上1がm3, 右上1,3,4, 左下1,2,5,7, 右下1,2がm2, 左上2,4,5, 左下3, 右下3,7がm1であった. 歯周ポケットの深さは右上1, 左上1, 左下5,7, 右下7で4~6mm, 下顎両側1,2が約3mmであり, ほかの部位は約2mmであった. 保存科初診時のX線所見では, 右上1,3,4,7, 左上1,2,6, 左下1,2,5,7, 右下1,2に顕著な歯槽骨の垂直的吸収があり, そのほかの部位では, 歯根長の1/2程度の吸収が認められた(図1-b).
ISSN:0389-5386
1883-177X
DOI:10.2186/jjps.46.277