再生組織工学の現状

最近, 再生組織工学が新しい医学の治療法の一つとして注目を集めている. しかし, この再生医学の芽生えはかなり古くから認められており, 先人の長年の努力がようやく今, 実を結びはじめているのである. すでに最先端の技術を駆使した人工臓器が外科手術の補助としてのみならず, 慢性疾患の治療機器として, 多大の貢献を果たしており, また, 埋植式の人工臓器も再建外科の最大の武器として欠かせないものとして無数に臨床応用されている. しかし, 人工臓器は, 効果が一時的で侵襲が大きく, 補助できる機能が単一である. また, 機能補助型の人工臓器は本体が大きく, 体内に埋植できず, 患者への多大の負担を強...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in炎症・再生 Vol. 21; no. 1; pp. 29 - 37
Main Author 清水, 慶彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本炎症・再生医学会 2001
日本炎症・再生医学会
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:最近, 再生組織工学が新しい医学の治療法の一つとして注目を集めている. しかし, この再生医学の芽生えはかなり古くから認められており, 先人の長年の努力がようやく今, 実を結びはじめているのである. すでに最先端の技術を駆使した人工臓器が外科手術の補助としてのみならず, 慢性疾患の治療機器として, 多大の貢献を果たしており, また, 埋植式の人工臓器も再建外科の最大の武器として欠かせないものとして無数に臨床応用されている. しかし, 人工臓器は, 効果が一時的で侵襲が大きく, 補助できる機能が単一である. また, 機能補助型の人工臓器は本体が大きく, 体内に埋植できず, 患者への多大の負担を強いている. 埋植式人工臓器では人工材料を用いるため, 生体と完全には一体化できないという欠点がある. そこで, すでに約20年ほど前からGalletyらによって人工臓器に生体細胞や生体組織を組み込もうとするバイオアーティフィシァルオーガンという考え方に立った, 人工材料と細胞と組み合わせたハイブリッド型人工臓器の研究が行われはじめた.
ISSN:1346-8022
1880-5795
DOI:10.2492/jsir.21.29