ABO不適合骨髄移植後の赤血球におけるABH抗原型物質の解析

ヒト血液型のA, B抗原の合成は, , H物質にα 1-3N-acetylgalactosaminyltransferase(A型糖転移酵素)が作用し, N-acetylgalactosamine(Gal一NAc)をα1→3結合するとA型抗原になり, α1-3galactosyltransferase(B型糖転移酵素)の作用によりgalactose(Gal)がα1→3結合してB型抗原となる. 1990年, YamamotoらによってABO血液型糖転移酵素のcDNA塩基配列が決定された1)2). A遺伝子とB遺伝子の差は, タンパク質のコーディング領域内の7カ所の塩基置換と4カ所のアミノ酸置換で...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 48; no. 4; pp. 335 - 341
Main Authors 岸野, 光司, 室井, 一男, 中木, 陽子, 大槻, 郁子, 尾島, 佐恵子, 渡辺, 一枝, 小幡, 隆, 菅野, 直子, 小野崎, 文子, 永嶋, 貴博, 川野, 千鶴, 渡, 潔, 岩本, 禎彦, 小澤, 敬也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 2002
日本輸血学会
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Summary:ヒト血液型のA, B抗原の合成は, , H物質にα 1-3N-acetylgalactosaminyltransferase(A型糖転移酵素)が作用し, N-acetylgalactosamine(Gal一NAc)をα1→3結合するとA型抗原になり, α1-3galactosyltransferase(B型糖転移酵素)の作用によりgalactose(Gal)がα1→3結合してB型抗原となる. 1990年, YamamotoらによってABO血液型糖転移酵素のcDNA塩基配列が決定された1)2). A遺伝子とB遺伝子の差は, タンパク質のコーディング領域内の7カ所の塩基置換と4カ所のアミノ酸置換であることが明らかにされた. 一方, O遺伝子はA遺伝子の一つの塩基欠失が示された. これらの遺伝子の多形性を利用して, ABO血液型の遺伝子診断が行われている3). ABO血液型不適合同種骨髄移植(BMT)において, BMTレシピエントのABO血液型抗原の推移をフローサイトメトリー等を用いて検討した報告はある4)が, ABO遺伝子型を用いて検討した報告は少ない. 今回, 私達はABO血液型不適合BMTを受けたレシピエントにおいて, 末梢血単核細胞または赤芽球バーストのABO遺伝子型, 赤血球表面上のABH血液型物質の存在, 血清中の糖転移酵素活性, ABO式血液型以外の血液型変化を検討したので報告する.
ISSN:0546-1448
1883-8383
DOI:10.3925/jjtc1958.48.335