MRIにて後下小脳動脈瘤と広範な延髄・高位頸髄の信号異常をみとめ,反復性呼吸不全で死亡,静脈性循環障害がうたがわれた86歳女性例

症例は86歳女性である.歩行障害にて発症し,10日間の経過で高度の四肢麻痺と球麻痺を呈した.呼吸不全のため人工呼吸器管理がおこなわれた.MRIでは延髄から上位頸髄まで信号異常をみとめ,左延髄外側の後下小脳動脈に嚢状動脈瘤をみとめた.ステロイド治療後に一過性に症状の改善をみたが再度呼吸不全をきたし,全経過約4週間で死亡した.剖検では延髄実質内に軸索腫大をともなう虚血性病変と浮腫性変化をみとめ,病巣が表層に散在する分布や静脈鬱血の所見をみとめたが確定診断にいたらなかった.後下小脳動脈瘤に関連した静脈性循環障害が自験例の主たる病態であったと推察した....

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Published in臨床神経学 Vol. 48; no. 8; pp. 568 - 574
Main Authors 真崎, 勝久, 大野, 雅治, 前田, 浩喜, 濱田, 哲夫, 岩城, 徹, 友田, 宏幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2008
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Summary:症例は86歳女性である.歩行障害にて発症し,10日間の経過で高度の四肢麻痺と球麻痺を呈した.呼吸不全のため人工呼吸器管理がおこなわれた.MRIでは延髄から上位頸髄まで信号異常をみとめ,左延髄外側の後下小脳動脈に嚢状動脈瘤をみとめた.ステロイド治療後に一過性に症状の改善をみたが再度呼吸不全をきたし,全経過約4週間で死亡した.剖検では延髄実質内に軸索腫大をともなう虚血性病変と浮腫性変化をみとめ,病巣が表層に散在する分布や静脈鬱血の所見をみとめたが確定診断にいたらなかった.後下小脳動脈瘤に関連した静脈性循環障害が自験例の主たる病態であったと推察した.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.48.568