抗Hu抗体,抗GluRε2抗体ともに陽性で辺縁系脳炎を合併した末梢神経障害の1例

症例は75歳男性である.74歳時に歩行困難,全身痙攣のため前医に入院したが,意識障害,四肢筋力低下が遷延し当科へ転院した.入院時に意識障害,遠位筋優位の筋萎縮,筋力低下をみとめ,頭部MRIで両側海馬にT2高信号域を,神経伝導検査で運動神経優位の末梢神経障害をみとめた.胸部CTにて肺門部のリンパ節腫脹と同部位へのFDG-PETでの集積をみとめた.血清抗Hu抗体,抗GluRε2抗体が陽性で,傍腫瘍性神経症候群による辺縁系脳炎,末梢神経障害が示唆された.免疫グロブリン大量静注療法(IVIg)を施行し,臨床症状,検査所見ともに改善した.複数の抗神経抗体陽性例の報告はまれで,抗Hu抗体と抗GluRε2抗...

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Published in臨床神経学 Vol. 50; no. 7; pp. 467 - 472
Main Authors 立石, 貴久, 荒畑, 創, 大八木, 保政, 鮫島, 祥子, 重藤, 寛史, 吉良, 潤一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2010
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ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.50.467

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Summary:症例は75歳男性である.74歳時に歩行困難,全身痙攣のため前医に入院したが,意識障害,四肢筋力低下が遷延し当科へ転院した.入院時に意識障害,遠位筋優位の筋萎縮,筋力低下をみとめ,頭部MRIで両側海馬にT2高信号域を,神経伝導検査で運動神経優位の末梢神経障害をみとめた.胸部CTにて肺門部のリンパ節腫脹と同部位へのFDG-PETでの集積をみとめた.血清抗Hu抗体,抗GluRε2抗体が陽性で,傍腫瘍性神経症候群による辺縁系脳炎,末梢神経障害が示唆された.免疫グロブリン大量静注療法(IVIg)を施行し,臨床症状,検査所見ともに改善した.複数の抗神経抗体陽性例の報告はまれで,抗Hu抗体と抗GluRε2抗体の重複陽性例にてIVIgが有効である可能性が示唆された.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.50.467