S状結腸原発のびまん浸潤型大腸癌の1例

大腸びまん浸潤型大腸癌の大部分は転移性で, 原発性はまれであり, その発生, 進展形式, 術前診断, 予後などの点において問題の多い疾患である. 最近, S状結腸原発と考えられるびまん浸潤型大腸癌を経験したので, 若干の文献的考察を加え報告する. 症例は43才, 男性で約1ヵ月半前より発症した腹部膨満, 下腹部痛, 便通異常, および下血を主訴に来院. 注腸検査でS状結腸を主体に, 上行結腸にわたる約16cmの壁進展不良と壁硬化不整狭窄像, さらに粘膜の一部に粗大敷石状の変化を認めた. 内視鏡検査では肛門縁より約50cmの部に全周性の狭窄を認め, 狭窄部の辺縁よりの生検で癌細胞は認められなかつ...

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Published in医療 Vol. 43; no. 1; pp. 88 - 91
Main Authors 八十川, 要平, 大宮, 東生, 浅尾, 武士, 刑部, 東治, 箕浦, 広彦, 加藤, 康行, 塚本, 秀人, 秋山, 憲義
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1989
国立医療学会
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.43.88

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Summary:大腸びまん浸潤型大腸癌の大部分は転移性で, 原発性はまれであり, その発生, 進展形式, 術前診断, 予後などの点において問題の多い疾患である. 最近, S状結腸原発と考えられるびまん浸潤型大腸癌を経験したので, 若干の文献的考察を加え報告する. 症例は43才, 男性で約1ヵ月半前より発症した腹部膨満, 下腹部痛, 便通異常, および下血を主訴に来院. 注腸検査でS状結腸を主体に, 上行結腸にわたる約16cmの壁進展不良と壁硬化不整狭窄像, さらに粘膜の一部に粗大敷石状の変化を認めた. 内視鏡検査では肛門縁より約50cmの部に全周性の狭窄を認め, 狭窄部の辺縁よりの生検で癌細胞は認められなかつたが, 同部の癌を疑い左半結腸切除術を施行した. 病理組織診断でBorrmann IV型の拡がり方を呈する低分化腺癌を主とした, 印環細胞癌, 粘液癌など多彩な組織像を示すびまん性浸潤癌と診断された.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.43.88