ソフトマテリアル界面における共有結合形成を利用した接着
ボロン酸,およびヨードアリールをそれぞれの側鎖に有した高分子ゲルは,金属触媒を添加することにより接着した.これは高分子ゲル界面における鈴木・宮浦クロスカップリング反応によるものであり,ソフトマテリアルの界面で共有結合が形成され,二つの材料を接着することができた.このような材料間の接着は他の化学反応にも適用できる.銅触媒を用いたアジド–アルキン環化付加反応(CuAAC反応)や薗頭クロスカップリング反応を用いても,接触界面における共有結合の形成によって接着できた.この接触界面での共有結合形成は水中および有機溶媒中でも達成できる.さらに難易度の高い異種材料間の接着を試みた.高分子ゲルと無機材料である...
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Published in | 高分子論文集 Vol. 72; no. 10; pp. 590 - 596 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 高分子学会
2015
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ISSN | 0386-2186 1881-5685 |
DOI | 10.1295/koron.2015-0040 |
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Summary: | ボロン酸,およびヨードアリールをそれぞれの側鎖に有した高分子ゲルは,金属触媒を添加することにより接着した.これは高分子ゲル界面における鈴木・宮浦クロスカップリング反応によるものであり,ソフトマテリアルの界面で共有結合が形成され,二つの材料を接着することができた.このような材料間の接着は他の化学反応にも適用できる.銅触媒を用いたアジド–アルキン環化付加反応(CuAAC反応)や薗頭クロスカップリング反応を用いても,接触界面における共有結合の形成によって接着できた.この接触界面での共有結合形成は水中および有機溶媒中でも達成できる.さらに難易度の高い異種材料間の接着を試みた.高分子ゲルと無機材料である硬質ガラス基板のそれぞれにボロン酸またはヨードアリールを修飾し,鈴木・宮浦クロスカップリング反応による異種材料間接着を試みた.その結果,適切な組合せの場合のみ,高分子ゲルとガラス基板において,接着を確認した.このような接着は従来の接着剤を用いた接着とは異なり,有機溶媒に浸漬させても接着剤が溶解しないため,安定した接着を実現できた.界面での共有結合形成を利用した接着は有機材料–有機材料間だけでなく,有機–無機の異種材料間の接着においても新たな展開を示した. |
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ISSN: | 0386-2186 1881-5685 |
DOI: | 10.1295/koron.2015-0040 |