ポリイタコン酸-PVA系IPNヒドロゲルの調製とその保水材としての評価

保水材としての利用を目的として,化学架橋型のポリイタコン酸と物理架橋型のポリビニルアルコール(PVA)からなる相互侵入高分子網目(IPN)ヒドロゲルを調製した.まず,PVAの重合度(1000,2000,4000)とその添加量がIPNヒドロゲルの膨潤度,圧縮強度および再膨潤能に及ぼす影響について調査した.膨潤度はPVAの重合度が2000のIPNヒドロゲルで比較的高く,PVAの添加量が増えるほど低下する傾向を示した.また圧縮強度はPVAの重合度に明瞭に依存せず,PVAの添加量が増えるほど向上した.さらに,PVAの重合度が高く,その添加量が多くなるほど再膨潤率の低下を抑制することができた.次に,この...

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Published in高分子論文集 Vol. 72; no. 12; pp. 731 - 736
Main Authors 刈込, 道徳, 小林, 悠, 田口, 絵梨佳, 木村, 隆夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 高分子学会 2015
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ISSN0386-2186
1881-5685
DOI10.1295/koron.2015-0027

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Summary:保水材としての利用を目的として,化学架橋型のポリイタコン酸と物理架橋型のポリビニルアルコール(PVA)からなる相互侵入高分子網目(IPN)ヒドロゲルを調製した.まず,PVAの重合度(1000,2000,4000)とその添加量がIPNヒドロゲルの膨潤度,圧縮強度および再膨潤能に及ぼす影響について調査した.膨潤度はPVAの重合度が2000のIPNヒドロゲルで比較的高く,PVAの添加量が増えるほど低下する傾向を示した.また圧縮強度はPVAの重合度に明瞭に依存せず,PVAの添加量が増えるほど向上した.さらに,PVAの重合度が高く,その添加量が多くなるほど再膨潤率の低下を抑制することができた.次に,このIPNヒドロゲルについて保水性,植物育成能を評価した.土壌にIPNヒドロゲルを混ぜることで含水量が増し,土壌の保水性を高めることができた.またカルボキシラートイオンの対イオンをカルシウムイオンに置換したIPNヒドロゲル上でカイワレ大根が良好に成長した.
ISSN:0386-2186
1881-5685
DOI:10.1295/koron.2015-0027