スマートポリマーを用いた途上国医療への取組み

世界70億人のうち,1/2は衛生面で問題を抱え,1/3は電気が使えず,1/5がまともな水が飲めない環境で生活しており,その死因の半分以上が早期に適切な診断・治療を受ければ助かるようなepidemics (マラリア,結核,インフルエンザなどの疫病)といわれている.また,日本でも2011年3月に起きた東日本大震災ではライフラインが切断されたことで多くの“治療難民”を出す結果となった.本報では,こうしたインフラが十分でない環境,たとえば電気供給率の低いエリアでも確保可能なエネルギー源(指を擦った摩擦熱や太陽の光)で駆動するスマートポリマーを用いて,低コスト,簡便さ,迅速さなどを目指した早期診断システ...

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Published in高分子論文集 Vol. 69; no. 10; pp. 545 - 554
Main Author 荏原, 充宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 高分子学会 2012
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ISSN0386-2186
1881-5685
DOI10.1295/koron.69.545

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Summary:世界70億人のうち,1/2は衛生面で問題を抱え,1/3は電気が使えず,1/5がまともな水が飲めない環境で生活しており,その死因の半分以上が早期に適切な診断・治療を受ければ助かるようなepidemics (マラリア,結核,インフルエンザなどの疫病)といわれている.また,日本でも2011年3月に起きた東日本大震災ではライフラインが切断されたことで多くの“治療難民”を出す結果となった.本報では,こうしたインフラが十分でない環境,たとえば電気供給率の低いエリアでも確保可能なエネルギー源(指を擦った摩擦熱や太陽の光)で駆動するスマートポリマーを用いて,低コスト,簡便さ,迅速さなどを目指した早期診断システムの開発に関してその一例を紹介する.とくに,温度応答性ポリマーと抗体との複合体を用いて血中微量抗原を濃縮するシステムや,形状記憶ポリマーを用いた書き換え可能なマイクロ流路などについて概要する.
ISSN:0386-2186
1881-5685
DOI:10.1295/koron.69.545