味覚障害の治療

味覚障害の障害部位は,受容器,末梢神経,中枢神経,心因性に分類される.このうち受容器障害が最も多い.その病態は亜鉛欠乏による味細胞の新生遅延であるため,亜鉛内服療法が有効となる.現時点で味覚障害に対して保険適用のある亜鉛製剤は存在しないが,2017年3月に酢酸亜鉛が「低亜鉛血症」の治療薬として保険適用を取得したことで,味覚障害診療の拡大が期待される.当科における亜鉛内服療法の有効率は80.2%であった.ただし,亜鉛補充効果が得られない症例もあり,漢方薬や抗うつ薬等が奏効することもある.亜鉛内服療法以外の治療法やそのアプローチ方法について,症例で検討するとともに治療アルゴリズムを提案する....

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Published in口腔・咽頭科 Vol. 31; no. 2; pp. 149 - 154
Main Authors 西井, 智子, 前田, 英美, 任, 智美, 梅本, 匡則, 阪上, 雅史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔・咽頭科学会 2018
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ISSN0917-5105
1884-4316
DOI10.14821/stomatopharyngology.31.149

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Summary:味覚障害の障害部位は,受容器,末梢神経,中枢神経,心因性に分類される.このうち受容器障害が最も多い.その病態は亜鉛欠乏による味細胞の新生遅延であるため,亜鉛内服療法が有効となる.現時点で味覚障害に対して保険適用のある亜鉛製剤は存在しないが,2017年3月に酢酸亜鉛が「低亜鉛血症」の治療薬として保険適用を取得したことで,味覚障害診療の拡大が期待される.当科における亜鉛内服療法の有効率は80.2%であった.ただし,亜鉛補充効果が得られない症例もあり,漢方薬や抗うつ薬等が奏効することもある.亜鉛内服療法以外の治療法やそのアプローチ方法について,症例で検討するとともに治療アルゴリズムを提案する.
ISSN:0917-5105
1884-4316
DOI:10.14821/stomatopharyngology.31.149