原発性硬化性胆管炎(global type, stage II)にウルソデオキシコール酸が有効であった1例

原発性硬化性胆管炎(以下PSC)のglobal type,stageIIに対して,ウルソデオキシコール酸(以下UDCA)単独投与にて血中アルカリフォスファターゼ(ALP)およびその他の胆道系酵素が完全に正常化した1例を報告した. 患者は66歳,男性,検診にて肝機能異常を指摘され入院した.血液検査では,胆道系酵素の上昇および抗核抗体の陽性を認めた.腹部超音波検査では,胆管壁が2~3mm程度,びまん性に肥厚.内視鏡下胆道造影(ERC)上,肝内および肝外胆管の狭窄と拡張をびまん性に認めた.肝生検組織像では,グリソン鞘領域に線維化と慢性炎症細胞浸潤および細胆管周囲に線維化を認め,piecemeal n...

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Published in胆道 Vol. 15; no. 1; pp. 49 - 53
Main Authors 越智, 秀典, 休場, 成之, 迫本, 実, 浅本, 泰正, 菅野, 啓司, 坪井, 和彦, 田妻, 進, 西岡, 智司, 沼田, 義弘, 山口, 厚, 角南, 泰志, 中井, 訓治, 茶山, 一彰
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2001
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando1987.15.1_49

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Summary:原発性硬化性胆管炎(以下PSC)のglobal type,stageIIに対して,ウルソデオキシコール酸(以下UDCA)単独投与にて血中アルカリフォスファターゼ(ALP)およびその他の胆道系酵素が完全に正常化した1例を報告した. 患者は66歳,男性,検診にて肝機能異常を指摘され入院した.血液検査では,胆道系酵素の上昇および抗核抗体の陽性を認めた.腹部超音波検査では,胆管壁が2~3mm程度,びまん性に肥厚.内視鏡下胆道造影(ERC)上,肝内および肝外胆管の狭窄と拡張をびまん性に認めた.肝生検組織像では,グリソン鞘領域に線維化と慢性炎症細胞浸潤および細胆管周囲に線維化を認め,piecemeal necrosisも認めた.入院後UDCA 600mg/day連日投与で,7カ月目にALPおよび胆道系醒素が完全に正常化し,以後現在まで保たれている.しかし,胆管壁肥厚は腹部超音波上認められている.PSCに対するUDCAの効果は,stage I までの報告が多いが,今回の症例よりstageの進行した比較的高齢の患者にUDCAが有効であった.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando1987.15.1_49