平成3年度における自己血輸血施行状況

1988年, われわれは病床数が300床以上の全国の病院を対象に自己血輸血の施行状況, ならびにその将来的な展望に関する調査を行った. その結果, 1回でも自己血輸血(手技, 方法を問わず)を施行したことのある施設は659施設中213施設にとどまっていた1). 一方, アメリカ合衆国南部アリゾナ地区での調査では1985年の輸血用自己血の全輪血用血液に対する比率は0.3%であったが1989年には9.3%と著しく上昇している2). これは単に感染症, とりわけエイズ感染の恐怖がさらに大きくなったのみならず, 自己血輸血の意義が一般市民に啓蒙され, さらに外科医の自己血輸血に対する認識が向上した3)...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 39; no. 5; pp. 866 - 871
Main Authors 藤田, 善久, 高折, 益彦, 木村, 健一, 福井, 明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 1993
日本輸血学会
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ISSN0546-1448
1883-8383
DOI10.3925/jjtc1958.39.866

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Summary:1988年, われわれは病床数が300床以上の全国の病院を対象に自己血輸血の施行状況, ならびにその将来的な展望に関する調査を行った. その結果, 1回でも自己血輸血(手技, 方法を問わず)を施行したことのある施設は659施設中213施設にとどまっていた1). 一方, アメリカ合衆国南部アリゾナ地区での調査では1985年の輸血用自己血の全輪血用血液に対する比率は0.3%であったが1989年には9.3%と著しく上昇している2). これは単に感染症, とりわけエイズ感染の恐怖がさらに大きくなったのみならず, 自己血輸血の意義が一般市民に啓蒙され, さらに外科医の自己血輸血に対する認識が向上した3)ためと受留められている. 翻ってわが国においては1989年以降, 貯血式自己血輸血法の健康保険採用, 日本輸血学会からの自己血輸血のための採血ガイドラインの設置など行政上の推進が計られて来ている. そしてそれによって現在においては1988年とは異なる状況になっているものと推察される. それゆえにわれわれは今回再び前回同様の自己血輸血に関する調査を施行し, 1991年度における自己血輸血の現況を把握することを試みた.
ISSN:0546-1448
1883-8383
DOI:10.3925/jjtc1958.39.866