S状結腸に発生した大腸髄様癌の1例
症例は74歳男性.アテローム性血栓性脳梗塞により施設入所中の患者で下血に対する精査目的にて当院へ紹介となった.下部消化管内視鏡検査にて肛門縁より40cmのS状結腸に半周性の2型進行大腸癌を認め,胸腹部造影CT検査ではリンパ節の腫大はなく,遠隔転移も認めなかった.以上よりS状結腸癌[T3(SS)N0M0;cStageIIa]と考え,腹腔鏡下S状結腸切除術(D3郭清)を施行した.術後は合併症なく経過し,術後13日目に前医へ転院となった.なお病理組織結果から大腸髄様癌と診断され,RAS変異型を示し,BRAF変異やマイクロサテライト不安定性は陰性であった.大腸髄様癌は大腸癌取扱い規約第8版に初めて記載...
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Published in | 日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 73; no. 8; pp. 395 - 399 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本大腸肛門病学会
2020
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Subjects | |
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ISSN | 0047-1801 1882-9619 |
DOI | 10.3862/jcoloproctology.73.395 |
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Summary: | 症例は74歳男性.アテローム性血栓性脳梗塞により施設入所中の患者で下血に対する精査目的にて当院へ紹介となった.下部消化管内視鏡検査にて肛門縁より40cmのS状結腸に半周性の2型進行大腸癌を認め,胸腹部造影CT検査ではリンパ節の腫大はなく,遠隔転移も認めなかった.以上よりS状結腸癌[T3(SS)N0M0;cStageIIa]と考え,腹腔鏡下S状結腸切除術(D3郭清)を施行した.術後は合併症なく経過し,術後13日目に前医へ転院となった.なお病理組織結果から大腸髄様癌と診断され,RAS変異型を示し,BRAF変異やマイクロサテライト不安定性は陰性であった.大腸髄様癌は大腸癌取扱い規約第8版に初めて記載された新しい概念の組織型でその多くは右側結腸に好発し,予後は比較的良好とされるが,本症のように左側結腸で発生するのは比較的稀とされる.今回S状結腸髄様癌の1例について若干の文献的考察を加えて報告する. |
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ISSN: | 0047-1801 1882-9619 |
DOI: | 10.3862/jcoloproctology.73.395 |