腹腔鏡下に切除しえた食道癌術後大腸転移の1例

患者は74歳男性．胸部中部食道癌に対して右開胸開腹食道亜全摘3領域郭清，胸壁前経路頸部食道胃管吻合術を施行した．病理結果は低分化型扁平上皮癌，pT3N3M0 StageIIIであった．術後9ヵ月の胸腹部CT検査にて縦郭リンパ節転移，多発肝転移，多発肺転移，大腸腫瘍を指摘された．大腸病変の生検結果は食道切除標本と類似した低分化型扁平上皮癌であったため，食道癌術後大腸転移と診断した．ADLは保たれており，病変部の狭窄が非常に強く早期閉塞が予見できたため，狭窄解除目的に腹腔鏡下結腸右半切除術を施行した．術後第35病日に自宅退院可能となったが，術後第81病日に永眠された．食道癌根治術後大腸転移は非常に...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 72; no. 7; pp. 433 - 438
Main Authors 杉浦, 弘典, 佐藤, 幹則, 藤井, 善章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2019
Subjects
腹腔鏡
転移性大腸癌
食道癌
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.72.433

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Summary:患者は74歳男性．胸部中部食道癌に対して右開胸開腹食道亜全摘3領域郭清，胸壁前経路頸部食道胃管吻合術を施行した．病理結果は低分化型扁平上皮癌，pT3N3M0 StageIIIであった．術後9ヵ月の胸腹部CT検査にて縦郭リンパ節転移，多発肝転移，多発肺転移，大腸腫瘍を指摘された．大腸病変の生検結果は食道切除標本と類似した低分化型扁平上皮癌であったため，食道癌術後大腸転移と診断した．ADLは保たれており，病変部の狭窄が非常に強く早期閉塞が予見できたため，狭窄解除目的に腹腔鏡下結腸右半切除術を施行した．術後第35病日に自宅退院可能となったが，術後第81病日に永眠された．食道癌根治術後大腸転移は非常に稀な病態であり，本邦における腹腔鏡下切除例は検索されうる限りにおいて認めなかった．文献的考察を含めて報告する．
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.72.433