直腸癌腹膜播種による人工肛門狭窄に対して金属ステント留置術を施行した1例

症例は87歳女性.3年前に直腸S状部癌に対して腹腔鏡下直腸高位前方切除術を施行し,最終病期はStage IIIaであった.2年前に吻合部再発をきたしたため,吻合部切除を伴うハルトマン手術を施行した.今回はストーマからの排便困難と腹部膨満を主訴に受診し,精査にて直腸癌多発・多臓器転移と,ストーマ近傍での腹膜播種によるイレウスと診断された.人工肛門より金属ステントを挿入した.狭窄部のすぐ口側で腸管がほぼ直角に屈曲していたが,屈曲に追従しやすいステントを選択することで拡張効果は良好であった.挿入後速やかに排ガス・排便を認め,腹部膨満は改善し食事摂取が可能となった.ステント留置術は根治手術の不可能な大...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 69; no. 4; pp. 216 - 220
Main Authors 原, 拓央, 小竹, 優範, 羽田, 匡宏, 平沼, 知加志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2016
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.69.216

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Summary:症例は87歳女性.3年前に直腸S状部癌に対して腹腔鏡下直腸高位前方切除術を施行し,最終病期はStage IIIaであった.2年前に吻合部再発をきたしたため,吻合部切除を伴うハルトマン手術を施行した.今回はストーマからの排便困難と腹部膨満を主訴に受診し,精査にて直腸癌多発・多臓器転移と,ストーマ近傍での腹膜播種によるイレウスと診断された.人工肛門より金属ステントを挿入した.狭窄部のすぐ口側で腸管がほぼ直角に屈曲していたが,屈曲に追従しやすいステントを選択することで拡張効果は良好であった.挿入後速やかに排ガス・排便を認め,腹部膨満は改善し食事摂取が可能となった.ステント留置術は根治手術の不可能な大腸癌イレウスに施行可能であり,人工肛門部狭窄に対して有用な方法であった.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.69.216