蜂刺傷によるアナフィラキシーショックに伴い発症した虚血性直腸炎の1例

症例は83歳,女性.右前腕,左耳介部を蜂に刺されショック症状を呈して救急搬送された.アナフィラキシーショックと診断され入院加療を行った.ショックを発症直後に一時,淡血性下痢が出現した.ショック症状は軽快し入院3日目に退院した.退院2日目に淡血性下痢を主訴に当科を受診した.大腸内視鏡検査で上部直腸,下部直腸に厚い白苔で覆われた潰瘍,発赤,浮腫を認めた.入院し保存的加療を行った.入院17日目に施行した大腸内視鏡検査では主病変がほぼ再生上皮で覆われた.入院18日目から経口摂取を開始し,入院21日目には症状も軽快し退院可能な状況となった.発症から約9週間後の大腸内視鏡検査では直腸内腔が瘢痕性に狭小化し...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 66; no. 7; pp. 515 - 521
Main Authors 佃, 和憲, 矢野, 匡亮, 市村, 浩一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2013
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.66.515

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Summary:症例は83歳,女性.右前腕,左耳介部を蜂に刺されショック症状を呈して救急搬送された.アナフィラキシーショックと診断され入院加療を行った.ショックを発症直後に一時,淡血性下痢が出現した.ショック症状は軽快し入院3日目に退院した.退院2日目に淡血性下痢を主訴に当科を受診した.大腸内視鏡検査で上部直腸,下部直腸に厚い白苔で覆われた潰瘍,発赤,浮腫を認めた.入院し保存的加療を行った.入院17日目に施行した大腸内視鏡検査では主病変がほぼ再生上皮で覆われた.入院18日目から経口摂取を開始し,入院21日目には症状も軽快し退院可能な状況となった.発症から約9週間後の大腸内視鏡検査では直腸内腔が瘢痕性に狭小化した部分を認めたが狭窄による症状は認めなかった.蜂刺傷によるアナフィラキシーショックを誘因に発症した虚血性直腸炎であると考えられた.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.66.515