経十二指腸的乳頭切除術で治療した乳頭部カルチノイドの1例

経十二指腸的乳頭切除術を施行した乳頭部カルチノイドの1例を経験したので報告する. 症例は49歳, 男性. 健診にてγ-GTPの上昇を指摘され精査となった. 腹部 USで総胆管の拡張が認められ, 造影CTで十二指腸乳頭部に内腔に突出する1.5cm大の腫瘤性病変が認められたが, 周囲への浸潤やリンパ節の腫大は認められなかった. EUSでは十二指腸乳頭部に1.7cm大の境界明瞭で内部均一な低エコー腫瘤を認め, 内視鏡所見では乳頭部は腫大し, 生検でカルチノイドと診断された. 腫瘍径が小さく, 浸潤所見やリンパ節腫大も認められず, 経十二指腸的乳頭切除術を施行した. 術中の膵頭後面リンパ節迅速病理診断...

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Published in胆道 Vol. 20; no. 1; pp. 70 - 75
Main Authors 原, 隆志, 高梨, 節二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2006
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando1987.20.1_70

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Summary:経十二指腸的乳頭切除術を施行した乳頭部カルチノイドの1例を経験したので報告する. 症例は49歳, 男性. 健診にてγ-GTPの上昇を指摘され精査となった. 腹部 USで総胆管の拡張が認められ, 造影CTで十二指腸乳頭部に内腔に突出する1.5cm大の腫瘤性病変が認められたが, 周囲への浸潤やリンパ節の腫大は認められなかった. EUSでは十二指腸乳頭部に1.7cm大の境界明瞭で内部均一な低エコー腫瘤を認め, 内視鏡所見では乳頭部は腫大し, 生検でカルチノイドと診断された. 腫瘍径が小さく, 浸潤所見やリンパ節腫大も認められず, 経十二指腸的乳頭切除術を施行した. 術中の膵頭後面リンパ節迅速病理診断では, 腫瘍を認めなかった. 病理組織学的検査ではカルチノイド腫瘍で, 脈管因子, リンパ節転移, 核分裂像の何れも認めず, 細胞異型度も少なく, Ki-67陽性率も低値で切除断端も陰性であった. 術後11カ月を経過した現在, 再発の徴候なく健在である.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando1987.20.1_70