大腸癌治療中の薬剤性血小板減少症の1例

症例は70歳の女性,3年前に盲腸癌の肺転移,傍大動脈リンパ節転移に対してmFOLFOX6とbevacizumabの併用療法を行っていた.途中休薬,薬剤の変更はあったが,oxaliplatinとしてはそれまで計21cycleの投与を行っていた.22cycle目を開始して12時間後に,突然の歯肉出血と紫斑を認めた.血小板数が著明に低下しており,速やかにステロイド投与と濃厚血小板輸血を行い,出血傾向は改善し,血小板数は正常値に帰した.Platelet associated IgGが異常高値であり,drug lymphocyte stimulation testは最終的に複数の薬剤が陽性であった.以上...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 68; no. 7; pp. 473 - 476
Main Authors 大城, 望史, 平田, 雄三, 岡本, 有三, 吉岡, 伸吉郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2015
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Summary:症例は70歳の女性,3年前に盲腸癌の肺転移,傍大動脈リンパ節転移に対してmFOLFOX6とbevacizumabの併用療法を行っていた.途中休薬,薬剤の変更はあったが,oxaliplatinとしてはそれまで計21cycleの投与を行っていた.22cycle目を開始して12時間後に,突然の歯肉出血と紫斑を認めた.血小板数が著明に低下しており,速やかにステロイド投与と濃厚血小板輸血を行い,出血傾向は改善し,血小板数は正常値に帰した.Platelet associated IgGが異常高値であり,drug lymphocyte stimulation testは最終的に複数の薬剤が陽性であった.以上から,薬剤性血小板減少症と診断した.大腸癌化学療法,とくにoxalipl atinを使用するレジメンで治療中には,まれではあるが重篤な薬剤性血小板減少症が発生することに注意すべきである.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.68.473